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2話 ページ5





陽が傾き辺りが薄暗くなってきた夕暮れ時、商店街は帰宅中の人でそれなりに賑わっていた。


人の流れに逆らい探偵社に向かって歩みを進める。視界の端にはゆらゆらと浮かぶAの脚が写る。


「それで?深刻な事態って何でしょう?」


そう問いかける彼女の方を見上げると目が合った。其の出来事にため息が出そうになる。


「其の前に外に居る時は帽子を被れと云われてるだろう」


鼠色の外套に付いた帽子を指差す。彼女の異能上、大勢が居る中で顔が見えているのは不味い。


「今Aは国木田さんにしか見えてないから善いじゃあありませんか」


彼女はクスクスと笑う。成程、先程から周囲からの視線が痛いのは、俺がブツブツと独り言を云っているように見えている所為か。


「それでもだ 万が一を考えろ」


そう諭せば、はーいと不服そうな態度を取りつつ帽子を目深に被った。顔が隠れた事を確認してから、彼女の質問に対して答えを順に話していく。


「敦に懸賞金を懸けた黒幕が『組合』と呼ばれる北米異能者集団だと判った」


彼女はふーんと興味なさげに相槌を打つ。


「然も其処のボスが今日、態々社迄出向いて『異能開業許可証』を寄越せと云ってきた」


「猫の次は許可証?忙しい人達ですね」


勿論断ったがなと付け加えると、少しズレた事を云い出した。そうじゃないだろうと思わずため息が出た。


「其の上、奴等を見送った賢治が行方不明だ」


「誘拐、人質…思ったより深刻ですね」


「初めからそう云ってるだろう」



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
Aちゃんの不注意で、万が一で死んじゃったプロローグのおじいちゃん可哀想ね

彼女の異能起因で死ぬ筈だった彼を態々自分の手を汚してまで彼女の視界に入れないようにしたのはお兄さんの一種の優しさかもしれませんね

彼女が知らないところで、彼女の異能が原因で人が死ぬっていうのは今でも結構あったりします。

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作者名:手羽さき x他1人 | 作者ホームページ:   
作成日時:2019年8月26日 22時

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