40.君となら ページ40
爽やかな春の風が吹いている。部活も終わり、黄瀬くんと並んで帰っていると、少し強めの風がわたしたちの髪の毛を揺らした。
何気なく振り向けば、遠くでは桜吹雪ができていて、下校中の他の生徒たちのスカートを揺らしている。そして、自分のスカートもヒラヒラしていることに気付いて、わたしはそっと微笑んでから前を向く。
「おい、あのマネ可愛くね?」
「馬鹿! あの人、黄瀬先輩の彼女だぞ」
「まじかよ」
すると、後ろから聞こえてきた微かな声。わたしは聞き取ることはできなかったけど、僅かに眉を顰めた黄瀬くんには聞こえたらしい。
「あの子たち、確かバスケ部の一年生だよね。なんて言ってたの?」
「......オレたちがお似合いだってさ」
ーーーいや、絶対違うだろ。
心の中でそう突っ込んでいると、いきなり距離を縮めてきた黄瀬くんが、わたしと指を絡ませて、ぎゅっと力を込めてくる。
「一年生、めっちゃ見てるけど」
「見せてるんスよ」
勢い良く顔を上げれば、わたしと同じように頬を染めた黄瀬くんが満足げに微笑んでいて。わたしと目が合うと、黄瀬くんは子供っぽい笑みを浮かべて繋いだ手を指差した。
「Aっち、女の子用の制服着るようになって、なおさらモテてるみたいだから、牽制しとかないとね」
「牽制なんてしなくても...」
「駄目ッスよ! これだから本人に自覚ないと困るんだってばもう」
可愛らしく口を膨らませた黄瀬くんに肩をぶつけられる。わたしは思わず吹き出しながら、繋いだ手をぎゅっと握り返した。
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環(プロフ) - たくっちさん» コメントありがとうございます〜!! そう言っていただけると嬉しいです! ほんとにありがとうございます!! (2015年12月29日 22時) (レス) id: 6bc2673fc1 (このIDを非表示/違反報告)
たくっち - めっちゃ良い話じゃないですか。感動しました!これからも感動するような作品よろしくお願いします。応援してます! (2015年12月27日 18時) (レス) id: 14821b434b (このIDを非表示/違反報告)
環(プロフ) - 朱いメダカ@ペンタブ禁止令さん» コメントありがとうございます^ ^ そういっていただけると、すごく嬉しいです〜!! ありがとうございます! (2015年5月12日 0時) (レス) id: 6bc2673fc1 (このIDを非表示/違反報告)
朱いメダカ@ペンタブ禁止令(プロフ) - 今日読み始めて一気に最後まで読んでしまいました!!凄くキュンキュンして泣けて…凄く面白かったです!! (2015年5月11日 23時) (レス) id: edbb06b586 (このIDを非表示/違反報告)
環(プロフ) - にょんさん» コメントありがとうございます^ ^ ほんとですか!? すっごく嬉しいです、ありがとうございます!! (2015年5月7日 23時) (レス) id: 6bc2673fc1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:環 | 作成日時:2015年2月15日 11時