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4.水色の彼 ページ4

海常が誠凛に負けた。

練習試合といっても、負けは負けだ。予想外の敗北に、海常の選手の空気がどよんでいる。わたしは、自分のデータが勝利に導けなかったことにはぁ、と小さく溜息をついた。

と、そのとき。

「...Aさん、少しいいですか」
「テツくん」

後ろから聞こえた優しい声に振り向けば、すぐそばにテツくんが立っていた。わたしと目が合うと、柔らかく微笑む。

「ちょっと話があるんですけど」


***


「二年前、何でいきなりいなくなったりしたんですか」
「...テツくん」

ストバスのコートのそばの公園に入ると、テツくんはそっと掴んでいた腕を離した。

「寂しかったです、すごく。転校するなんて一言も言わずに、君は突然いなくなってしまって、寂しかったんですから」

透き通るような水色の綺麗な瞳がじっとわたしを見下ろす。そして、キュッと結ばれた口元は寂しそうに歪んでいた。

転校する前、テツくんとは図書委員が一緒で仲が良かった。

「...ごめんね。テツくんはいつも相談に乗ってくれてたのに。これは言い訳だけどね、言おうと思ったんだけど、言えなくて...」

何度も言おうとしたけど、優しい彼ならきっと悲しそうな顔で止めてくるだろうと思って言えなかった。...今更だけど申し訳ない。

「ほ、本当にごめん...」

深々と頭を下げてそう言ったとき、ふいに頭の上に少し大きな手が優しく触れたのを感じた。そして、ほぼ同時に聞こえたクスリ、という笑い声に驚いて顔を上げれば、すごく優しい顔をして微笑んでいるテツくんと目が合った。

「...え?」
「嘘です。青峰くんから聞いてました」
「大ちゃんから?」
「はい。それに、もう良いんです。だって、こうしてまた君に会えましたから」

いきなりそっと握られた手にびっくりして顔を上げれば、ふわりと微笑んでいるテツくんがいて、思わず目を見開いた。

「...テツくん」

その優しい微笑みに思わず口元が緩む。

「わたしも黒子くんにまた会えて嬉しい。ありがとう」
「はい」

テツくんとの二年ぶりの再会に心が弾んだ。やっぱりいい人だ。今日は会えてよかった。

「...あ」
「え?...ちょっと、テツくん?どこ行くの!?」

しかし、隣のストバスのコートを見た途端、突然走り出したテツくん。思わず追いかけながら、チラリと視線を移せば、コートの下にいる高校生たちが恐い人たちに囲まれていた。

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設定タグ:黒バス , 黄瀬涼太 , 恋愛   
作品ジャンル:アニメ
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(プロフ) - たくっちさん» コメントありがとうございます〜!! そう言っていただけると嬉しいです! ほんとにありがとうございます!! (2015年12月29日 22時) (レス) id: 6bc2673fc1 (このIDを非表示/違反報告)
たくっち - めっちゃ良い話じゃないですか。感動しました!これからも感動するような作品よろしくお願いします。応援してます! (2015年12月27日 18時) (レス) id: 14821b434b (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 朱いメダカ@ペンタブ禁止令さん» コメントありがとうございます^ ^ そういっていただけると、すごく嬉しいです〜!! ありがとうございます! (2015年5月12日 0時) (レス) id: 6bc2673fc1 (このIDを非表示/違反報告)
朱いメダカ@ペンタブ禁止令(プロフ) - 今日読み始めて一気に最後まで読んでしまいました!!凄くキュンキュンして泣けて…凄く面白かったです!! (2015年5月11日 23時) (レス) id: edbb06b586 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - にょんさん» コメントありがとうございます^ ^ ほんとですか!? すっごく嬉しいです、ありがとうございます!! (2015年5月7日 23時) (レス) id: 6bc2673fc1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2015年2月15日 11時

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