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今日は学校の近くの神社でお祭りがある。あの土手の上にずらりと並ぶ屋台を思い出すだけで、こんなにも胸が高揚してしまうのは、お祭りに行くのは三年ぶりだからだろう。小さいころから高尾くんと行くのが恒例だったお祭りは、中学一年生のときに拒まれてからはからっきしになっていた。だから、今日はバスケ部全員で行けるのが楽しみなのだ。すごく、すごく楽しみなのだ。

......なのに。

「......なんで誰もいないの」

ヒューと風の小さく細長い音がハッキリと耳に届く。それは、ここにわたし一人しかいないことを物語っていた。

ーーー夕方の六時に学校の校門の前と言われたのに、なんで誰もいないんだ。

何度も自問自答しているが、答えてくれる人なんて勿論いない。

「あーあ...みんな今頃楽しんでるのかなぁ」

高尾くんも小夜ちゃんと仲良く屋台回ってるんだろうな。緑間くんはラッキーアイテムとか探してそうだ。宮地先輩はアイドルのくじとかしてたりして。

ーーーその前に、わたしがいないことに気付いてる人なんて誰もいないんじゃないだろうか。大体、違う集合場所を教えられた時点でかなり嫌われてるよなぁ。

そこまで考えて、ふと我にかえる。...駄目だ。どんどん考え方が卑屈になってくる。

「......帰ろ」

大きく溜息を吐いてから、パシンと両頬を力一杯叩く。今更お祭りに顔を出したって、周りに疎まれているんじゃしょうがない。来年、誰か友達を見つけて行こう。

決意を新たにして、トボトボと帰路を歩いていると、いろんな人たちとすれ違う。親子、友達、恋人...。わたしだけじゃないか、こんな泣きながら一人で歩いているのは。なんて思いながら、通り過ぎる人たちが不思議そうにわたしの顔を覗き込んでいくのをなんとなく眺めていると、ふいに後ろから伸びてきた手にグイッと引っ張られた。

「ーーー...A!」

驚いて振り向けば、目の前にいた人物に思考が停止する。そこには、息を切らした高尾くんが立っていた。

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設定タグ:黒バス , 高尾和成 , 恋愛   
作品ジャンル:アニメ
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(プロフ) - 豪炎寺いちごさん» ほんとですか!すごく嬉しいです^ ^ わかります。しんちゃんのツンデレ個人的に好きです!あと、アニメとか見てると、秀徳のメリハリあるけど、あったかい感じにぐっときます!笑 (2015年2月19日 21時) (レス) id: 6bc2673fc1 (このIDを非表示/違反報告)
豪炎寺いちご(プロフ) - 環さん» 更新されていてすごく嬉しいです!!嬉しいと思っていただいて嬉しいです(笑)しんちゃんのツンデレ感がすごくいいです!! (2015年2月19日 21時) (レス) id: fd2b97f491 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 豪炎寺いちごさん» そうなんですね^ ^ 改めてそう思うと、めっちゃ嬉しいです〜〜〜!わたしも気の合う人に出会えて嬉しいです! (2015年2月19日 19時) (レス) id: 6bc2673fc1 (このIDを非表示/違反報告)
豪炎寺いちご(プロフ) - 環さん» すごく好きな作品にするだけで、基本的コメントはしませんからね(笑)やっぱり大好きな作品の作者には好かれたいので(笑)気が合う人と出会えたことは今日一番の幸せです! (2015年2月19日 19時) (レス) id: fd2b97f491 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 豪炎寺いちごさん» わたしも思いました!いちごさんありがとうございます!!! (2015年2月19日 19時) (レス) id: 6bc2673fc1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2015年2月15日 11時

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