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高尾side


「高尾、どうするつもりだ」

部活帰りのいつもの道。真ちゃんと二人で帰っていると、突然隣から聞こえてきたぶっきらぼうな声に思わず顔を上げた。

「えー、なにが?」
「とぼけるな。上坂のことだ。お前が変に気を遣っているせいで、自分のことを好いてるかもしれないと勘違いしているぞ」

好いている、という言葉を言うときに、何故か頰を赤らめ照れているのを見て思わず笑いそうになる。ピュアか。

「Aを守りたいという気持ちは買うが、それにしても上坂には優しすぎるのだよ。他の方法を考え...」
「ーーーちげーよ真ちゃん」

オレの言葉に、む、と不思議そうな顔をして見下ろしてきた相棒をチラリと見てから目を伏せる。優しいなんて誤解だ。

「オレが臆病なだけなんだわ、ホント。Aが傷付いてるのは他人のせいだって思わねーと自分が苦しいから予防線張ってんの」

オレがアイツの近くにいればいるほど、上坂雨音は多分嫌がらせをエスカレートさせる。この間教室で、オレが横を向いてる隙に、Aに向けたあの意地悪そうな笑顔を"視た"ときですらゾッとしたのに、今はバスケ部のマネージャー同士、接触する機会が多い中でエスカレートなんてしてしまったら、たまったもんじゃない。

「自分で言うのアレなんだけど、こういうの初めてじゃねーの。中学んときも、一回あったからさ。オレのせいで何かつらい目にあったとかまた聞いたら、もうAに会わせる顔ねーよ」

そうなったら、罪悪感で、もう話しかけることも出来なくなる。

「...なんか言ってくんねーの?」

冗談ぽく言ったのに、無言を貫く真ちゃんに少し戸惑う。顔をあげれば見えた、眼鏡の奥に見えた瞳は何故か心配そうに揺れていた。

「真ちゃん、どったの?」
「それは俺の台詞なのだよ。鏡を見てみろ。酷い顔だぞ」
「ひっでーの...」

元気付けようとしてくれているのか、少し微笑んだ真ちゃんに、笑い返そうと笑顔を作れば、引きつる顔の筋肉に自嘲気味に内心笑った。

「お前が近くにいた方がいいに決まってるのだよ、馬鹿め。それに近くにいないとわからないこともある」
「わからないこと...ねぇ」

言われた言葉に噛み締めてポツリと呟くと、普段からは想像できないような顔で微笑む真ちゃんと目が合う。

「そう意地を張ってやるな。大事な幼馴染みだろう。大切にしろ」
「......真ちゃんのイケメン」

我ながら最高の相棒を持ったと微笑みながら、先を歩く真ちゃんの背中を追いかけた。

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設定タグ:黒バス , 高尾和成 , 恋愛   
作品ジャンル:アニメ
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(プロフ) - 豪炎寺いちごさん» ほんとですか!すごく嬉しいです^ ^ わかります。しんちゃんのツンデレ個人的に好きです!あと、アニメとか見てると、秀徳のメリハリあるけど、あったかい感じにぐっときます!笑 (2015年2月19日 21時) (レス) id: 6bc2673fc1 (このIDを非表示/違反報告)
豪炎寺いちご(プロフ) - 環さん» 更新されていてすごく嬉しいです!!嬉しいと思っていただいて嬉しいです(笑)しんちゃんのツンデレ感がすごくいいです!! (2015年2月19日 21時) (レス) id: fd2b97f491 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 豪炎寺いちごさん» そうなんですね^ ^ 改めてそう思うと、めっちゃ嬉しいです〜〜〜!わたしも気の合う人に出会えて嬉しいです! (2015年2月19日 19時) (レス) id: 6bc2673fc1 (このIDを非表示/違反報告)
豪炎寺いちご(プロフ) - 環さん» すごく好きな作品にするだけで、基本的コメントはしませんからね(笑)やっぱり大好きな作品の作者には好かれたいので(笑)気が合う人と出会えたことは今日一番の幸せです! (2015年2月19日 19時) (レス) id: fd2b97f491 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 豪炎寺いちごさん» わたしも思いました!いちごさんありがとうございます!!! (2015年2月19日 19時) (レス) id: 6bc2673fc1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2015年2月15日 11時

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