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高尾side
「宮地先輩、絶対Aちゃんに甘いって!」
「わかる!ほら、めっちゃ笑顔じゃん」
「本当だ。緑間くんとかもさー、他の人たちもみんなAちゃん大好きだよね」
......ホラきた。合宿に行く途中のバスの中。近くの座席から聞こえてきたマネージャーたちの会話から感じる棘に思わず顔を顰める。
「Aちゃんも満更でもなさそうだしさ、狙ってんじゃない?」
「ありえる!とろいのとかも、キャラ作ってんのかな」
満更でもなさそうに見えるのは、Aが相手に不快な思いを与えないように、自分の感情を押し込めて、無理に明るい表情を作ってしまう性格だからで、とろく見えるのはわざと多めに任された仕事も、手を抜かず丁寧にこなしてるからで。
「なんかムカつくよね」
ムカつくのはお前らだっつーの。人を惹きつける何かを見ようともせずに、人の欠点を見つけては貶してばっか。ホント、底根が悪いヤツらは隠してるつもりでも顔に出るよなぁ。
薄っすらと目を開けて視たAの表情と周りから聞こえてくるマネの言葉に、どうやらこのまま寝たふりを続けるのは危険らしいと判断して、スッと細く息を吐いた。
「宮地さん、ここタイヤの上でめっちゃ揺れるんすよ!オレ酔っちゃって、ちょっと席替えてくれません?」
「はぁ?仕方ねーな」
「ありがとうございます!真ちゃんも宮地さんの隣なの喜んでます」
「......高尾ォォオ!!」
真ちゃんの恨めしそうな顔に思わず吹き出しながらも、席を移動すれば、案の定、宮地さんに騒ぎ出すマネにホッと息をつく。真ちゃんも起きたし、近くにイケメンさんが二人もいれば、流石に何も言えねぇよな。
「高尾くん、大丈夫?窓側座る?」
「や、通路側で大丈夫」
「そっか。到着まだ先だし、わたしも寝ようかな」
席に行って、少し会話をしたあと、ゴソゴソと窓の方に体を向けて座席の上で体育座りをしたAに「いや、逆に寝にくいっしょ」と、内心ツッコミを入れれば、自然と緩んだ口元。それを隠すように、自分も寝る姿勢を取ろうとしたとき、隣から聞こえてきた鼻のすする音に反応して隣を視れば、視界に入った微かに震える小さな肩に双眸を見開いた。
(まぁ、そりゃ聞こえるよなぁ...)
そして、Aの頭に手を伸ばそうとしてーーー...止めた。
無意識の行動に思わず声を出さずに笑う。オレは、誰かお前のことを守ってくれる人が見つかるまで、そっと見守るだけ。
だから、これはオレの役目じゃねーよな。
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環(プロフ) - 豪炎寺いちごさん» ほんとですか!すごく嬉しいです^ ^ わかります。しんちゃんのツンデレ個人的に好きです!あと、アニメとか見てると、秀徳のメリハリあるけど、あったかい感じにぐっときます!笑 (2015年2月19日 21時) (レス) id: 6bc2673fc1 (このIDを非表示/違反報告)
豪炎寺いちご(プロフ) - 環さん» 更新されていてすごく嬉しいです!!嬉しいと思っていただいて嬉しいです(笑)しんちゃんのツンデレ感がすごくいいです!! (2015年2月19日 21時) (レス) id: fd2b97f491 (このIDを非表示/違反報告)
環(プロフ) - 豪炎寺いちごさん» そうなんですね^ ^ 改めてそう思うと、めっちゃ嬉しいです〜〜〜!わたしも気の合う人に出会えて嬉しいです! (2015年2月19日 19時) (レス) id: 6bc2673fc1 (このIDを非表示/違反報告)
豪炎寺いちご(プロフ) - 環さん» すごく好きな作品にするだけで、基本的コメントはしませんからね(笑)やっぱり大好きな作品の作者には好かれたいので(笑)気が合う人と出会えたことは今日一番の幸せです! (2015年2月19日 19時) (レス) id: fd2b97f491 (このIDを非表示/違反報告)
環(プロフ) - 豪炎寺いちごさん» わたしも思いました!いちごさんありがとうございます!!! (2015年2月19日 19時) (レス) id: 6bc2673fc1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:環 | 作成日時:2015年2月15日 11時