24.嫉妬 ページ24
気付けばもうあたりは暗くなっていて、しかも無我夢中で走って来たからここがどこかもわからない。
帰り道もわからないし、もういっそ、このままここにいたいな、なんて思う。
藍ちゃんとも絶対気まずいし、帰っても何も良いことがない。むしろ悪いことばかりだ。
「...はぁ」
「A!」
すると、後ろから聞こえてきたその声に嬉しいような、気まずいような、複雑な気持ちになった。
...もしかして迎えに来てくれたのかな。
なんて淡い期待を持ちつつ、ゆっくりと振り向けば、すぐ後ろに立っていたのは怒ったような顔をした藍ちゃんと、──── 心配そうな顔をした春ちゃんで。
─────── な、なんで?
予想外の組み合わせに、なんだか胸が苦しくて泣きそうになった。
「こんなところでなにしてるの?ほら、戻るよ」
「Aちゃん、暗くなると危ないですから戻りましょう?」
ぼーっと二人のことを見ていると、綺麗な大きい手が目の前に伸びてきて腕を掴まれる。
...一緒に戻るってこと?
「やだ」
「...どうして?」
思わずそう言って顔を背けると、さらに藍ちゃんの眉のシワが深くなる。
その上、声も低くなって不機嫌さを物語っているけど、そんなのもうどうでもいい。
「戻りたくない」
どうしようもないくらい、いらいらする。...二人が一緒にいたってわたしには関係のないことなのに。こんなのわたしのわがままだってわかるのに。...なのに、感情がコントロールできない。
「...A」
春ちゃんも藍ちゃんも悪くない。
...こんなのただの嫉妬だってわかってるけど、口から出てくるのは自分でもびっくりするくらいの冷たい声で。
「二人で戻りなよ」
「...Aちゃん」
そう言うと、パッと掴まれていた手が離れた。
「じゃあ、勝手にすれば。行こう、ハルカ」
「え、美風先輩?」
そして、戸惑う春ちゃんの腕を掴んで合宿所に戻っていく藍ちゃんの背中を一瞬だけ見てから、すぐに視線を下に移す。
今すぐ追いかけて、二人にごめんなさいって言えたらどんなにいいだろう。
...やばい、本当に泣きそう。
わたしは、下を向くとポロポロと地面に落ちていく涙を、嗚咽を堪えながらしばらくじっと見ていることしか出来なかった。
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☆白いちご☆(プロフ) - わかりました! (2014年11月12日 18時) (レス) id: 7b63d19b57 (このIDを非表示/違反報告)
環(プロフ) - ☆白いちご☆さん» はい!わかりました^ ^ 白いちごさんのリクエストに応えられるよう頑張ります!!こちらこそ本当にありがとうございました!!また何かあったら教えてくれると嬉しいです!! (2014年11月12日 13時) (レス) id: 6bc2673fc1 (このIDを非表示/違反報告)
☆白いちご☆(プロフ) - ありがとうございます。 とても、楽しみにしてます! オチは、誰でもいいです。今から、ワクワクしてきました。 (2014年11月11日 21時) (レス) id: 7b63d19b57 (このIDを非表示/違反報告)
環(プロフ) - 了解です!春くらいになるとおもうんですけど分岐点作って別な話書かせていただきます^ ^ オチはそのままかヘブンズの誰かかなと思ってるので、もし何かあったら教えていただけると嬉しいです!こちらこそリクエストありがとうございました!すごく嬉しかったです!! (2014年11月11日 19時) (レス) id: 6bc2673fc1 (このIDを非表示/違反報告)
☆白いちご☆(プロフ) - はい。嶺ちゃんやレンみたいなやつです。オチ相手は、誰でもいいです。ヘブンズに移動してから幸せにの、シーンを書いてくれると、もっと、嬉しいです。また、わからないことあったら、聞いてください。こんな私に親切にありがとうございます。 (2014年11月11日 17時) (レス) id: 7b63d19b57 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:環 | 作成日時:2014年4月2日 15時