【うたプリ】ひとしずく

14.ごめんなさい ページ14

春歌side




「ごめんなさいっ！」

頭を下げてから大きな声でそう言えば、その場にいたみなさんが不思議そうな顔をしたのが目に入った。

「わたし、Aちゃんが悪くないって知ってたんです」

「え？」

「外でウトウトしてる間に楽譜がなくなってたのに、みなさんに聞かれたときいつ盗まれたのかわからないって嘘を言ってしまいました」

いつ盗まれたのかわからないって言ったせいで、時間帯も限定されないからその日出かけていたAちゃんまで疑われてしまった。

「それで、Aちゃんが学園からいなくなってしまってから、自分の言ってしまったことの重大さに気付いたんです。わたしが嘘つかなければAちゃんは疑われなかったはずです。だから、わたしのせいなんです！」

そう言って顔を上げれば、なぜかAちゃんはすごく優しい顔で微笑んでいて。

「わたし実は春ちゃんにやきもち焼いてたんだよね。だから、みんなに言われたことも、まぁ間違ってなかったなって思う」

「...Aちゃん」

「先輩たちはいい人ばっかりで毎日楽しくて、みんなもマスターコースにやってきて、今みたいに仲直りまで出来て。結果的には最高じゃん、ね？」

「...Aちゃん、本当にごめんなさい。それに、みなさんにもたくさん迷惑をかけてしまいました。...ごめんなさい」

わたしだって羨ましかった。曲が採用されるのはいつもわたしの方なはずなのに、みなさんと仲良くなっていくのはAちゃんばかりで。

心のどこかでもしかしたら、Aちゃんがいなくなったらもっと仲良くなれるのになんて思ってたのかな。

「いいんだよ、後輩ちゃん」

「七海だけが悪いのではない。俺たちの方がもっと悪いのだ」

「そうですよ」

さっきからひたすら謝ってるわたしに、みなさんの優しい声が聞こえてきて、なんだかあたたかい気持ちになった。

「みなさん、ありがとうございます...！」

これからは、今までの時間を埋められるように、Aちゃんと楽しい時間を過ごせていけたらいいな。

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