芸術科の問題児

8話 ー千秋sideー ページ10

芸術について熱く語り出した彼女
突然のことに驚いたが、そんなのはおかまいなしに熱弁している

太陽みたいな明るい笑顔
眼鏡の奥の瞳はキラキラと輝いていて、吸い込まれそうだ

眼鏡を外したらもっと綺麗なんだろうな

彼女を見て、そんなことを考える

「じゃ、亜美。後はよろしくね〜♪」

彼女の別れの言葉で、我に返った

止めようと声を出そうとしたが、その時にはもう彼女はいなかった
芸術科の問題児、の他に足が速いという噂も本当だったようだ

また、会いたい

そんな想いが出てきた

芸術科とアイドル科の接点はないため、もう会うことは出来ないだろう
そう考えると、一気に気持ちが落ち込んだ
接客とかしている場合じゃない

…それにしても俺は何でこんなに落ち込んでいるんだ

考えてみても、全くわからない

「…ヤバイ。早く見つけないと。すいません、ごちそうさまでした‼」

お金を出して、Aを追いかけようとする亜美、と呼ばれていた少女
そこで、あることを思いつく

「俺も手伝おう」

亜美と行動していれば、彼女とまた会えるかもしれない

会ってどうすることも出来ないが、その時はその時だ
なるようになるだろう

「さぁ、追いかけよう‼」
「⁉」

彼女の腕を引いて、Aを追いかける
後ろで羽風の止める声がするが、聞こえない振りをする

今は、Aともう一度会えるという事実に胸がいっぱいだ

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