芸術科の問題児 (ページ30)

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28話ページ30

「ああ、最高だっ‼どの作品も素晴らしいっ‼」

私は目の前にある複数の作品を見て、言う

今回の作品も、素晴らしい出来だった
やはり私は天才だっ‼

そこで、ふと我に返る

「……ここ、どこ?」

たまたまここに入ったら紙があったからそのまま絵を描いていたけど、ここがどこなのか、よくわからない

私は状況を確認するため、辺りを見回す

構造は普通の教室と変わらない
ギターやキーボードなどの楽器が置かれている

その中でも、特に異様な雰囲気を放つ、黒い物体

その黒い物体に近づくと、それが何かがわかる

その物体が何かかを理解し、私は思わず目を輝かせた
そして言った

「棺桶だ‼」

なんでこんなところに棺桶があるんだろう

一瞬、疑問に思ったがすぐにそれは消える
代わりに、アイデアが次々と沸いてくる

ああ、今すぐにこれを書き留めなければ
これもまた、最高傑作になりそうな予感‼

「待って待って、消えないで‼今すぐに書き留めるからっ‼」

私がそう言った瞬間、背後から物音が聞こえた

「うるさいのう、近くで騒がれると頭痛がするんじゃが……?」

私はその声が聞こえた方へと視線を移す

するとそこには、美しい男が大欠伸をかましていた

不健康そうな色白の肌
血のような、真紅の瞳

……誰かに似ているような?

だが今は、そんなことどうでもいい

私は満面の笑みを浮かべ、言う

「吸血鬼だ‼」

そこで、吸血鬼がこちらを見る

「ああ、お主が新しい転校生か。その感じからすると、芸術科の問題児の方かのう?」

「初めて吸血鬼を見たなぁ。ああ、またアイデアが沸いてきた‼今なら何百枚でも作品が描けそうだ‼」

「ふむ。確かに問題児じゃのう」

彼が呆れたように何か言っているが、気にしない

今の私には、このアイデアを書き留める方が大事だ

この学院は面白いことがたくさんあるなぁ
新しい刺激をくれる

そのことに関してだけ、皇帝に感謝してやろう

「お主、名前は?」

「ん～」

「……聞いておらぬな」

吸血鬼はそう言って、大きくため息を吐いていた