芸術科の問題児

10話 ーレオsideー ページ12

「きみも面白いね、愛してるよ☆」

一点の曇りもない笑顔で言われた
その言葉で顔に熱が集まるのを感じる

いや、それは、あれだ。深い意味はないはず…
うん、そうだ‼気にするな‼
あっちなんてもう、絵を描き始めてるから‼

「あ、いた‼Aだ‼」
「守沢先輩、足、速い…」

A、って今絵を描いてるやつか?
声の方へ振り向くと、整った顔の男子と、息切れをした女子がいた

「A、道端で描くなって言ったよね⁉」

息切れをした女子が悲痛な叫びをあげる
セナみたいだな

ていうか、やっぱこいつ、Aって言うんだ

「〜♪」

Aは彼女の声に気づいてないみたいだ

そういえば芸術科の問題児がアイドル科に来てる、とかみんな騒いでたなぁ
こいつがその問題児、とやらなのだろうか

確か『皇帝』がえらく気に入ってた

あいつに気に入られるなんて災難だな
俺みたいに壊されなきゃいいけど…

でも、『皇帝』が気にいる絵には興味がある

俺は彼女の絵に目を向けた

「…綺麗」

思わずそう呟いた

これは『皇帝』が気にいるのもわかる気がする

彼女の絵を見てると、インスピレーションが降りてきた
今なら、彼女と同じ、最高傑作が描けそうだ

「あぁあ、広がっていく!妄想が、宇宙を包む!書ける、今なら名曲が書ける〜☆」
「ヤバイ、変人が増えた⁉」

俺はまた、作曲を始めた
セナみたいなやつが、何か言ってるが気にしない

俺は周りを気にせず、また作曲をし始めた

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