しえんと べいんてぃしんこ ページ27
それからしばらく経った日の夜、私は自室にいた。隣の部屋には教授がいるだろうが、今日は遊びには行かない。卵と───秘密の策を試してみるためだ。
私はクィリナスに散々小言を言われながら部屋を出た。
ク「あなたは彼のことになったらすぐ頭に血が上るんですから。前に学んだでしょう？これからもっと酷い記事を…」
『気をつけるからさ、静かにしてよ。監督生の風呂に忍び込むっつうのに。あと女風呂だから早く変身しないと』
ク「静かにってどの口が…！」
フィルチなんかに見つかっては元も子もない。クィリナスは鷲に変身したあとも尚小言を言っていた。
監督生の風呂場はとにかく豪華で、これだけで監督生になる理由になると思うほどだった。シャンデリアに、大きな浴槽、たくさんの蛇口がついている。
私はそれぞれをどんどん捻って、カラフルな泡で満たしながら訊いた。
『お風呂一緒に入る？』
ク「冗談も程々にしてください」
彼はそう言いながら後ろを向いた。まあ、私の裸なんて見たいはずもない。
ク「私を連れてきた理由はあるんでしょうね？」
『うん』
私は服を脱ぎながら言った。そっと足先から浴槽に入る。
丁度いい湯加減だ。私は『あー…』と息を漏らしながら伸びをした。
ク「本当に？」
『うんー…』
今にも眠りそうな声が出た。彼は痺れを切らしたかのように振り返って、私の元に卵を寄せた。
『ちょっと、体が出てたらどうしたの』
ク「特に何も思いませんよ。セブルスじゃないんですから…」
私は勢いよく卵をぶんどると、浴槽に沈めた。卵をあけ、自分も潜る。
そのまま卵を開けた。ゆったりと流れるようなメロディーにのせて、不思議な声が聞こえてきた。
ぷはっ！と顔を上げる。クィリナスが浴槽の淵で目を丸くしていた。
ク「これは………」
『水中人だな。水の中で息をしなきゃいけないってわけ』
ク「策はあるんですか？」
私は例の自信たっぷりの笑みをうかべると、杖をとった。
『私はアニメーガスではないからね。自分に変身呪文をかけて、完全ではないけど別の生き物の力を借りる』
上級中の上級の呪文だ。今まで少しずつ練習していたものの、本格的には初めてだ。
『緊張するな』
私は手袋をはめて杖を自分に向けた。クィリナスは黙って見守っている。
『サーペンス・トラーンスフィグーラーティオー』
静かに、しかし力を込めてはっきりと唱える。
すると杖先から青白い光が伸びて、私の体を上からゆっくりと覆っていった。
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ユーレイ(プロフ) - 羽音さん» メッセージ、イラストともにありがとうございます！楽しく拝見させてもらいました。自分の小説からイラストまで書いていただけるなんて本当に嬉しいです。ありがとうございます！ (2019年6月1日 23時) (
レス) id: 44ca875d76 (このIDを非表示/違反報告)
ユーレイ(プロフ) - mikittyさん» 素敵なコメントにこちらこそニヤニヤしました……この焦れったい感じが書くのが楽しくて、どうしても長引かせてしまいます笑 (2019年6月1日 23時) (レス) id: 44ca875d76 (このIDを非表示/違反報告)
羽音(プロフ) - メッセージに書いていたURLです！→http://uranai.nosv.org/img/user/data/0/9/a/09ad2710a06e0237527c6512112dc071.png (2019年5月31日 21時) (レス) id: d257d5a444 (このIDを非表示/違反報告)
mikitty(プロフ) - 更新されているとニヤニヤしちゃうくらいに好きです…お互いに焦れったい感じがたまりません！セブルスという人物をとても細かく丁寧に描いている素晴らしい作品です。これからも楽しみにしています！ (2019年5月31日 1時) (レス) id: 05ebd46207 (このIDを非表示/違反報告)
ユーレイ(プロフ) - パンジーさん» 空きコマのお供にしてもらえてよかったです！！(！？) さらに面白いと思って貰えるような展開にできたらと思ってます。楽しいコメントありがとうございました！ (2019年5月30日 21時) (レス) id: 44ca875d76 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：O
| 作成日時：2018年10月23日 12時
