trente-quatre ページ35
Aside
足が鉛のように重い。
私はホグワーツを出て、湖のそばに出た。
教授の言う通りだ。
何なら、もっと酷い。そもそも私には過去がないのだ。そんなの、分かっていた。吸魂鬼に襲われた時にそれを認めたじゃないか。
なのに、何で、どうして────
ポタポタと雨が降ってくる。それが頬に伝って、いつの間にか流れていた涙と混じりあって地面に落ちた。
教授は悪くない。言っていることは全て事実だ。
だが、教授の口からあの言葉が出た時、私はどうしても突き放されたかのような感覚に陥ってしまった。
ああもう、自分が嫌になる。
本当は皆と同じがいい。どんなものにしろ過去をもって、未来を知らないでこの世界に居られたなら……
私はなんて馬鹿なんだろう。
蹲っていると、雨が激しくなった。
ク「───A！」
どのくらいこうしていたんだろう。振り返ると、クィリナスが動揺した目で私見ていた。
『クィリナス…私…』
クィリナスは私が話すより先に、自分のローブを脱いで私に羽織らせた。
ク「後で聞きます。ですから、今は宴会に戻りましょう。暖まりますよ」
『……行きたくない』
私は自分の声が震えているのに気づいた。彼もそれに気づいたようで、小さく私の名前を呼んだ。
『ごめん』
雨が降っていて良かったと思った。泣いているのが、少しは誤魔化せる。
私が僅かに頬を緩ませると、彼は私をぎゅうと抱きしめた。
ク「何のために私がいるんですか」
『……ごめん』
ク「もう謝らないで下さい」
クィリナスは少し私を離して、優しい目で私の顔を覗き込んだ。
ク「ひとりで背負い込むのは、いい加減にしてください」
私の胸くらいいつでも貸しますよ、なんてくさい台詞を言われて、私はやっと少し笑った。
ク「帰りましょう」
私は頷いた。クィリナスは私の肩を抱くようにして、ゆっくりとホグワーツに連れていってくれた。
大広間につくと、宴会で賑わっているはずの場所は寝袋がぎっしりと敷かれていた。
そして、なにやらこそこそと話し合っている声がする。
クィリナスと呆然と顔を見合わせていると、向こうからハリーたちが駆け寄ってきた。
ハー「どこにいたの！？探したのよ！」
ロ「というか、何でそんなにずぶ濡れなんだ？」
私は言葉を濁した。ハリーは察したような顔で、私は曖昧に微笑んだ。
ハリー「ブラックが来たんだ」
ハリーはだしぬけに言った。私はあっと声を上げた。
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あんず - 初めまして。私もスネイプ大好きです！仕事の合間にニマニマしながら見てます(笑)素敵過ぎる作品に感謝です！これからも頑張ってください！！ (7月4日 21時) (
レス) @page8 id: a382905644 (このIDを非表示/違反報告)
あんず - 初めまして (7月4日 21時) (レス) @page8 id: a382905644 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっきー - すっごく面白くて、続きが気になって、ここまで一気に読みました！寝不足です笑 この先もすごく気になるし、どんな結末を迎えるのかワクワクしながら読み進めますね！これからも楽しみにしてます！私もセブルス大好きです！素敵な作品をありがとうございます！ (2022年4月5日 23時) (レス) id: 6477d40512 (このIDを非表示/違反報告)
ミキ(プロフ) - はじめまして。とらんとぬふのページで思わず泣いてしまいました…笑 占ツクで泣いてしまうなんてと思ったけど、本当に心動かされました。この小説に出会えて良かったです。スネイプ先生への愛が増しました笑 心からありがとう！！ (2019年9月19日 14時) (レス) id: 1e7e266fc1 (このIDを非表示/違反報告)
ユーレイ(プロフ) - 第一部隊さん» とっっっても嬉しいです！笑 頑張ります！！！ (2017年12月30日 23時) (レス) id: 19fb53cdaa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：O
| 作成日時：2017年10月7日 16時
