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消えた自転車 27 ページ28

「立花裕樹の言うことなら信じられる」

「ん!」

どれだけあいつのことを尊敬してるんだよ

「でもそれじゃ、犯人がわからなくなるよ
通りすがりの人間がチェーンを切る準備をしてるわけじゃないし
これだと、第1の線も2の線も全部潰れるよ」

だなぁ、捜査は一からやり直しかぁ

とその時、ピピッと機械音が鳴り響いた

うおうっ

機械音の正体は上杉が掛けた腕時計のアラームだった
上杉がその機械音を止めた

「タイムリミットだ。俺は帰る」

あいよ

若武がなにかを言おうとしたが
上杉に睨まれ、若武はその言葉をのんだ

上杉は鞄を持ち教室から出た

黙り込む若武の肩を黒木が抱き寄せた

「今日はもう俺たちも帰ろう。
明日になればなにか良い案が浮かぶはずさ。」

そうだな

今、気分が沈んでるまま無理に考えても良い案は浮かばない。

「じゃ、俺らは帰らせてもらうよ。彩、行こう」

左手で自分の鞄と彩の鞄を持って右手で彩の左手首を掴んで教室を出て行った。

出たあとすぐに閉まりかけのドアの隙間から教室内を見ると若武が心細そうにしているのが見えた。

「明日にはなにかつかめるといいね…」

彩がボソッと言ったことに俺は

「嗚呼」

相槌を打った







その日はどうせ考えても良い案が出ないだろうということで若武の自転車の事は頭の隅に置いて
さっさと自分の勉強を終わらせてから彩の部屋に行って彩の勉強を手伝うという自分の生き甲斐のような物をしてからのんびりと23時まで本を読むという日課をしていると

自分の部屋のドアが開いた。

俺の部屋は一つの部屋を半分に仕切って裕樹と共有している。
だから裕樹が帰ってきたんだろうと思い気に留めることなくページを捲ると

「空也、電話よ。」

ドアを開けた正体は母だった。

「電話…?」

時計を見ると針は10と7を指していた

「誰から?」

「黒木貴和って子
うちは9時までしか取り次ぎませんって言ったらどうしてもって言うからね、三谷Bって言うし言葉使いも丁寧だし
それに空也の友達でしょ、電話を掛けてくる空也の友達は今まで居なかったから許したけど、一度きりだからね」

母はそう言うとドアをバタンと閉めて大慌てで階段を降りて行った

そんなこと言うんならスマホ買ってくれりゃあいいのに

そう思いながら受話器を取って電話に出た

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律&陽@よーよーつり(プロフ) - アリスさん» コメントありがとうございます!!!頑張って更新するので待っててください!! (2021年9月10日 21時) (レス) id: 445808fdc2 (このIDを非表示/違反報告)
アリス - すごく面白かったです。 次も楽しみにしています (2021年9月10日 14時) (レス) id: 50cf438f42 (このIDを非表示/違反報告)
律&陽@よーよーつり(プロフ) - 霞音さん彩華さんありがとうございます!仲違いシーンはメンタルが強くなって読めるようになったら絶対書きます! (2021年4月23日 20時) (レス) id: 445808fdc2 (このIDを非表示/違反報告)
彩華 - 全然構いません!作者様のやりやすい方で良いですよ!待ってます! (2021年4月23日 18時) (レス) id: da4daeacca (このIDを非表示/違反報告)
上杉霞音(プロフ) - 私は構いません!できれば読みたいですが・・・((( (2021年4月23日 7時) (レス) id: 45bf448c7e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:律/陽 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/  
作成日時:2020年1月1日 0時

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