立花彩の弟は姉ラブを拗らせたようです。

消えた自転車 25 ページ26

「僕も」

小塚がボソッと頬を微妙に赤らめながら言ってうつむいた

「この間、トライするところ見たけど、すげえカッコよかった
男なら誰でもあんな風になりたいと思うよ」

えっ、そうか？

黒木がクスッと笑った

「それにモテるんだ
中高等部の女たちがよると触ると噂してる」


まあ、一週間に1通は必ずラブレターがうちのポストに入ってるから、な

「先週のテストじゃ総合トップだった。東大理三は確実だって秀明の講師が言ってた」

そして皆が俺らの方を向いて憧れの混じった目をして言った

「お兄さんによろしく」

あ、はい
うん、よろしくしない

こいつらはあいつの赤の他人だから憧れの目を向けれるんだろうけど
血縁者の俺は憧れの目なんか持てない。

こいつらは知らない。
俺らが家でどれだけ裕樹に気を使ってるのか
あいつの所為でストレスがどれだけ溜まってるのか

彩がガタンと立ち上がった
俺も立ち上がり彩と一緒に教室を出た。

彩、ちょっと拗ねたんだ
あいつらが兄のことで盛り上がるから

黒木が俺らを追いかけてきた

「まてよ立花二人」

んだよ

「なにムクれてんだよ」

お前らの所為だよ

「別に」

彩はそっぽを向いた
あ、うん可愛い

あ、そうだ

「黒木」

俺は黒木の方を向いた

「何？」

「空也で良いよ。立花じゃ2人居るからさ」

「わかった。」

黒木はそう言いそっぽを向いてる彩に言った

「機嫌直せよアーヤ」

ん？


彩はビックリしたように黒木を見た

「違った？」

「いや、あってるけど、どうして知ってるの？」

彩は目をぱちくりしたまま言った

「アヤってつく名前の女の子は大抵そう呼ばれてるよ」

ふーん

「黒木くんって女の子に詳しいんだね」

「まあね」


そう答えた黒木は階段を下りながらブルゾンのポッケからあの若武を恨んでいる奴らのリストを出した

そのリストには２つほどチェックが付いていた

「なにこれ」

彩が聞いた

「これから調査をする人物」

「残りは？」

彩は驚いて聞いた

驚く顔も可愛い

「全部シロ」

仕事早っ

「一晩中走り回ったの！？」

「いや、コネだよ」

こいつ、どんだけコネを持ってるんだよ

彩は、知らない言葉が出てきて、あわあわしていた

俺はそんな彩の目を見て
あとで教えるから、黙ってて
とアイコンタクトを送った

彩には無事伝わったらしい

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