消えた自転車 38 ページ4
許しをもらえた若武は目を輝かせた
許さないって言った方が面白い反応見れたかもと頭を横切った
いやいや、今はそんなことしてる暇はないな
「がんばって、はやくしろよ」
言われなくてもするよ
しばらくして、ドイツ語の辞書を調べていた彩が声を上げた
「あった!Dei Farben 塗料よ!」
おお。
皆一斉に彩が持っている辞書の元へ集まった
若武の動きが1番早く真っ先に
「すげえ!」
と声を上げた
彩がすごいのは当たり前だろう。
可愛い彩をもっと褒めてくれ。
っとそうじゃなくて
俺は自分の前にあるフランス語の辞書を見た
「じゃあフランス語の方はもういいな。片付けとく。」
俺の一言で皆我に返りさっきまで彩の方を見ていたのをくるっと振り向き俺の方を見た
「空也」
若武が口を開いた
「空也俺がさっき言ったすげえはお前にも向けていったからな」
「ん。」
まさか言われるとは思ってなかった俺は不意打ちを食らって素っ気ないことしか言えなかった
・
その後、授業が始まるまでに彩は成分表の3分の1の言葉を翻訳してみせた
本当は手伝いたかったけど残念ながら辞書は一冊しかなく彩が翻訳している間は彩の横顔を堪能した
残りは家に帰って翻訳し、唯一連絡先がわかる小塚に連絡することにした
全部を彩にさせることを自分が許さないので親父が持ってたドイツ語の辞書を借りて一緒に調べた
親父が持ってたんなら借りなくても良かったかも
夢中になって成分表を翻訳していて全部翻訳し終えた時は9時半過ぎていた
約束していたから迷惑だなと思いながらも小塚に電話をかけた
小塚の親が出てきたらどう対処しようとあれこれ考えたけどどうやら小塚は自分の部屋に専用の電話を持っているらしく、小塚本人が出た
ああ…よかった
小塚に調査結果を全て報告する
「ん。よくわかった。じゃあここからは僕の出番だ。明日にはきっと車種を特定してみせるよ。ご苦労様」
ふう。
自分の責任を果たしたと感じ、ほっとした。
彩を見ると彩が満面の笑みで
「やったね!」
と右手を上げたので
「ああ!」
俺もそれにこたえ、小さくハイタッチをした。
満足感を心の中にしまい
上機嫌で今日できなかった秀明の予習テキスト、ノートを本棚にしまった。
勉強はできなかったが、別に良い。
予習しなくたってカバーできる
今日はこっちの方が俺にとっては大事だったんだ。
きっと今日の出来事は将来、自分の糧になる。外国語に触れる機会なんて滅多にないんだから
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律&陽@よーよーつり(プロフ) - 香織さん» あら(コメント)ありがとう!地道に頑張るっ (2021年9月20日 21時) (レス) id: 445808fdc2 (このIDを非表示/違反報告)
香織(プロフ) - あーあ…初コメゲットしたかったなぁ((続編おめでとう。地道に更新頑張ってね。 (2021年9月20日 11時) (レス) id: e36c51e9e3 (このIDを非表示/違反報告)
りつよう(プロフ) - 上杉霞音**低浮上さん» コメントありがとうー!私のペースで頑張る! (2021年9月20日 10時) (レス) id: 3b628fec6c (このIDを非表示/違反報告)
上杉霞音**低浮上(プロフ) - 続編以降おめでとう…!!続きも楽しみにしてる!りっちゃんのペースで頑張れ ~~っ! (2021年9月20日 6時) (レス) id: 45bf448c7e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:律/陽 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/
作成日時:2021年9月19日 23時