【呪術廻戦】大嫌いな先輩は異常に私が好きらしい【五条悟】 (ページ23)

今日:15 hit、昨日:0 hit、合計:69,409 hit

22 ページ23

.

あれから、２回目、3回目と任務を終え今日で4回目。

距離は一向に縮まらず、それどころ未だ私は見学という名の付き添いばかりだ。

「動くなよ」

『動きませんよ』

作り笑いを浮かべてそう返事をすると、五条先輩は特に表情を変えず先の道に進んでいった。

七海、反転術式難しいって言ってたな。
説明されても分かんないって。

灰原は、夏油先輩に憧れてるから話し出すと止まんないんだよね。

私はね、今日も待ってろって言われたよ。

「....

って、待てるかぁ！！！」

近くにあった石を蹴って、五条先輩が進んでいった方へ自分も足を運ぶ。

これは、あれだ。試されているんだ。

お前は待てと言われて待つような奴なのかと。

あろうことかこれから人を大勢救うであろう術師の卵が、そんな受け身の姿勢で言い訳がない。

やってやる。ついて来いってことですよね、先輩！

とは言え正確な現場も知らない私は、手持ちの式神の中で最も鼻の効く"熊"を出した。

『五条先輩の匂いを追って』

実は犬よりも熊の方が鼻が良い。まぁ、この子が手持ちの中で一番頑丈だから何かあった時のためにっていうのが本音なんだけど。

熊の後ろを着いていくと、木々が生い茂る林のようなところに来た。

『け、結構奥なんだね

やっぱ、待ってた方が良かったかなぁ...』

そう呟いた時だった。

尋常じゃない呪力を感じて、背筋が凍りついた。

熊でさえ、ピタリと止まって動かない。

低く見積っても準一級、そのくらいの呪力。

近距離で感じる死の気配に、鼓動が耳のそばで大きくなっていく。

冷や汗が頬を伝って、喉が渇く。

死ぬのか、私。

『っ、く_________』

熊と叫びたかったのに叶わなかった。

『かはっ....』

背中にこれまで感じたことの無いような衝撃を感じて、肺がぎゅっと縮まる。息を吸わなきゃいけないのに、上手く息ができない。

額の右から気味の悪いドロっとした液体が目に垂れてきて、視界が赤く染まる。

左目だけで見たためぼんやりとはしていたが、少し離れたところでケラケラと笑う呪霊の姿と、破壊されたであろう熊の姿だけは何となく分かった。