儚い天使は知っている

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あっという間に土曜日。

私は自転車を飛ばして、若武の家を目指す。

｢アーヤ！｣

後ろから声をかけられた。

この声は･･･

｢翼っ！｣

私の心の友、翼でした。

翼は私の方に猛スピードで近づいた。

私はその姿をマジマジと見る。

翼の自転車漕いでる姿、そんなにちゃんと、見たことなかったから。

自転車にまたがる姿は、超爽やか！

制服でも私服でもカッコイイ！

見つめているのに気づいたのか、翼は不思議そうに私を見つめ返す。

そして、屈託なく笑った。

｢今日は早いね。一緒に行こっ！｣

その笑顔と言ったら･･･

可愛いっ！天使みたいっ！

｢うん。｣

私は軽く返事をして、自転車を漕ぎ始める。

翼は私の横に並んだ。



｢アーヤ、学校の課題、持ってきた？｣

｢持ってきたよ。

数学と理科がイマイチ分からない。｣

休日ということもあり、出された課題は多かったんだ。

国語と数学と理科。

国語は余裕だったけど、他は分からない部分もチラホラ。

教えてもらおうと思って、鞄に入れといたの。

｢じゃ、俺が教えるよ。

もう全部終わったからね。

その代わり、塾の国語の宿題、教えてくれる？｣

素晴らしい取引だと思ったから、オーケーしといた。

でも、いくら国語でも、翼が分かんないなら私も無理かも。

翼は全教科パーフェクトで、国語も私より上の時があるから。

最近は私が上だけどね。

それに、私は国語のエキスパート。

頑張らなくっちゃ！




｢着いたね。もうみんな、いるかな？｣

言いながら私はノッカーで扉を叩いた。

｢さあ、どうでしょ？

でも集合の十分前だし、いるかもね。｣

ん、みんな、いつも早いから。

翼と途中で会うなんて、滅多にないことなんだ。

｢こんにちは、立花さん。美門君。｣

島崎さんが出てきた。

｢今日もドーナツなのですが、よろしかったでしょうか？｣

｢はいっ！｣

｢いつも、ありがとうございます。｣

翼、対応が大人だなぁ。

私とは大違い、なんか落ち込む･･･


島崎さんに案内されて、今日は、リビングに着いた。

勉強会なら書斎より、こっちがいいと思ったらしい。

｢おっ！アーヤと美門！｣

若武がいつものように名前を呼んだ。

遅いっ！と言われなくて、一安心。

予想通り、みんな揃っていた。

上杉君なんて、もう始めてるよ！早っ！

｢それでは諸君、勉強会を始める。

って上杉っ！勝手に始めるなっ！｣

あれ、若武、気づいてなかったんだ。



ということで、勉強会が始まった。

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