第九百十六訓 ページ17
信女ちゃんが母さんと出会ったのは奈落に入って間もない頃らしい。
信女「屍さんは、私が奈落に入ったその時からずっと牢獄に居たわ。その存在には箝口令が敷かれ…今の奈落で彼女の存在を知っているのも私くらいだと思う」
『!牢獄……!?何故、』
信女「言ったでしょう?利用されていたと……屍さんは天導衆達による"ある実験"の被験者にされたの」
実験?つまり母さんは虚の血に関係したその実験とやらの実験体って事……??確かに虚の血は特殊だけど……。なぜ母さんが?
実験体だから奈落にいたのか……?いや、三羽烏に数えられる程なら元々所属してた可能性の方が高い筈。
(っ駄目だ、聞けば聞くほど疑問が浮かんでくる……落ち着け、ここはとにかく順を追って話を聞かなきゃ)
『その…ある実験、って……何の?』
信女「三羽烏である屍さんを使ってでも天導衆が無理を強いて行ったもの…現在の天導衆の最上層部にだって完璧に情報が行き渡ってない極秘人体実験よ」
『っ、だからその実験の内容は……!』
信女「……。………簡単に言えば、"虚の血に人間が適合できるか"を試す為の物」
『………は、』
表情筋をぴくりとも動かさずに彼女から出された言葉。人体実験の旨。
虚の血はアルタナによる変異によって出来ている。いわばアルタナの原液そのものと言っても遜色は無いだろう。それは死を打ち消し、体を不老不死へと変える物……
それに人間が、適合できるか……なんて。
(虚のそんな異質な血にただの人間の体が…何の代償もなく適合できるわけ、ない)
私でも分かる。きっと虚の血は虚という肉体あってこその血なのだ。火薬を飲み込む様なもの…人の体は砲台にはなれない。
なのに何故そんな無意味なことを??天導衆が不老不死という言葉に魅せられる余り……?それとも他の理由が?
『そんな実験、上手くいく訳ないだろう…虚は血だけが特殊なんじゃない、虚自身が特殊なんだ。なのに何故母さんがそんな馬鹿げた物に……』
信女「えぇ、勿論。実験は色んな人間の体で試されたわ。そして全員が血に焼き尽くされて死んだ…でも天導衆は己が悲願とする不老不死を諦めきれなかった」
その時、丁度三羽烏として名を馳せていたのが母さん…屍。彼女の生命力や強さは巷でも有名だったらしい。
信女「屍さんは強かった。生命力に溢れていた。だからこそ手を倦ねていた天導衆にとっては……丁度良かったのよ」
___火薬の様な異質な血に耐える、実験体としてね。
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実珠(プロフ) - ちゃむさん» ありがとうございます〜〜!!!!早く高杉出したいです笑笑笑 ちまちまとではありますが頑張ります!!楽しみにしていてくれると嬉しいです!!!💕 (1月24日 19時) (レス) id: 5eb1e7fab0 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃむ(プロフ) - 今回もスッゴく良かったデスーーーー!! 毎回毎回、楽しみにシテマスネーー!更新、無理しないで頑張ってください! (1月24日 2時) (レス) @page37 id: b122cb1e07 (このIDを非表示/違反報告)
実珠(プロフ) - 蘆花さん» 最高だなんて!!!見てくださっている蘆花様も最高ですううう〜!!✨長い間更新停止していて申し訳ない、、、また手に取って下さってこちらこそ有難う御座います嬉しいです✨️💕 ちまちまとではありますが更新頑張ります!!!笑 (1月20日 22時) (レス) id: 5eb1e7fab0 (このIDを非表示/違反報告)
蘆花(プロフ) - うそ!!知らぬ間に大量更新!?最高です!!あぁー!!めちゃさいこうです!!とにかく最高です!これからも待ってます!!!!! (1月20日 18時) (レス) id: bf60b993eb (このIDを非表示/違反報告)
ちゃむ(プロフ) - ワーーー!!! ありがとう御座います!! (1月11日 22時) (レス) id: b122cb1e07 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:実珠 | 作成日時:2023年12月21日 19時