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「さすがだな。
そのパワーは、俺たちの中で一番と言われるだけある」
敵が消え、静かになった空間で、声が届く。
「さっきのマサキの一撃のおかげで『黒の王子』に隙がうまれ抜け出すことができた、ありがとう。
……しかし、だ。
これはやめろと言ったはずだぞ」
「いててててて――っ！ 痛いよ〜 ショウちゃーん」
サトシーラの背中にまきついていた腕が力任せにはがされ、マサキが悲鳴を上げた。
「ショウ！」
「姫、心細い思いをさせてしまいました」
「ケガは！？ 無事なの！？」
「残念ながら……」
「！？」
サトシーラは息をのんだ。
３人の表情も固まる。
「姫の許しもなく負傷してしまい……申し訳ございません」
「あ……ああ……そんな……っ」
「腕一本は奪われましたが、聖剣は取り戻したゆえ……お許しください」
「ショウ！！」
切り落とされたショウの利き腕にすがりつき、サトシーラは涙を流した。
泣くことしかできない自分を歯がゆく、恨みさえ抱きながら、
せめて、流れ続ける血を何とかしようと自分の服を裂いて傷口に巻きつけた。
「姫……」
ショウの残された方の腕が、「もういい」と抑え込むように、サトシーラを抱きしめる。
「急ぎましょう。
もう……我らの時間は残り少なくなりました」
「！？」
そこまで言うと、ショウは 仲間の戦士の姿を見回した。
唯一、傷を負っていないジュンに、サトシーラを預け、
ショウは片腕となった左手で、聖剣を握りしめた。
「ジュン、お前が姫を運べ。頼んだぞ」
「……はい！」
ショウの言葉に、ジュンが大きく頷けば、
座り込んでいたカズは、よろめきながら立ち上がり、
マサキも槍を構え直した。
「姫 決戦の時です」
「！」
「我ら４人。
最後の最後まで……この身の一片が朽ち果てるその瞬間まで
貴女を守り続けることを、あらためて誓います」
「…………」
「だから、貴女は その力で世界を救ってください」
「…………わかってる」
サトシーラは、涙をぬぐい、
溢れる思いに耐えるように、胸の前で手を組んだ。
「……でも……」
そして、綺麗な眉を歪めて苦しそうに息を吐き出しながら、呟いたのだった。
「私は あなたたちを救いたかった」
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