Trentuno ページ33
ずっと進んでいけば急な下り坂のある分かれ道に出くわした。
どちらも草が少しへたっていて平になっていることから、ここも人が通る場所なのだろう。
とりあえず、左から行ってみるか……
迷わないように印をつけながら下っていけば、崖のような少し開けた場所に出た。
「わぁ」
「ん……?」
ふわ、と夏らしい風が吹いてきたので、それを体いっぱいに受ければ、横にいた先輩が怪訝な声を上げた。
「どうしました?」
「あそこに見えるの、集落だよね」
あそこ、と指指す先を見ればたしかに竪穴式住居のような、旧式の家のようなものが見えた。
私達にも復活者と思しき人達がいるようだ。
その手前には、何やらチャルメラのような屋台車があった。
はて、何か祭りでもやっているのだろうか。
そこに件の石神千空がいるかはわからないけれど、行ってみる価値はめちゃくちゃある。
思わず口角が上がるのがわかった。
「じゃあ行きましょうか!」
なんて言ってすぐに向かうことが出来れば嬉しいけど、生憎ここは崖。
とっても綺麗な見晴台だとは思うけれど、目的地までたどり着けないんじゃあ意味が無い。
一旦引き返しても、また方向を見失いやしないかという不安が頭の隅にチラつく。
何か手は……
あ。
「あ。」
「?」
手というには不充分かもしれないけれど、ないよりはマシかもしれない。
ガサゴソと革布で作ったリュックサックを漁る。
休憩の合間を縫って、川辺に生えている草を裂いては編んでロープのような紐を作っていたのだ。
「これを道標にすればいけそう……」
「でも、どうやって?」
疑問符を頭に浮かべて、てんでわからないという顔をしているのを横目に、おもむろに肩にかけていた木の筒の蓋を開ける。
「あ……あぁ〜!矢に括り付けるのか!」
「そでーす」
矢を取り出して、その後ろに付いている羽、矢羽の根元に括り付ける。
紐(太さ的には縄だが)の終わりの方にはそこら辺の拳一個分程の大きさの石を結びつける。
ググ……と弦を引っ張って目標の木を定める。
どこがいいかな。
遠すぎると私達が探せない上に集落にいる人に気づかれる可能性もある。
っていってもどこも葉が生い茂っていて、枝や幹の部分なんてほとんど見えやしないのだけれど。
何処か良さげなところはないかとよぉく目を凝らしていると、枝と枝の間から木肌が見えた。
風に吹かれて空いた隙間でもなさそうなので、照準を合わせる。
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_____(プロフ) - 米さん» 米さん初めまして!コメントありがとうございます。文章が硬くなってしまうのが悩みでしたので、そのように楽しんでいただけたのなら幸いです!相変わらずの亀更新ですが、米さん含め、皆様に楽しんでいただけますよう頑張ります。 (2020年4月13日 21時) (レス) id: 0c0dd0f299 (このIDを非表示/違反報告)
米 - 文章が読んでいて楽しくて、いつも楽しみにしています。これからも陰ながら応援しております。 (2020年4月13日 18時) (レス) id: 2a29b7989a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:____(かせん) | 作成日時:2020年3月26日 12時