Quindici ページ17
ある程度の生活リズムが決まってから三週間ほど。
もうすっかり夏が来た。
何年経っても日本の夏が蒸し暑いのは変わらないらしい。
相変わらず山菜採りをして、夜に作業をして、あとの時間は筋トレに費やしていた。
筋トレといってもダンベルとかがある訳じゃないから、そこら辺の岩とかを持ち上げたりするだけだ。
あとは土器作りも筋トレの一環になっていたりする。関東の土地は、関東ローム層といって粘土質な土が多い。
だからそこらへんを掘って土を持ってきて、水をちょいちょい混ぜながら作っていけば出来る。
そのおかげか、羽京さんとのトレーニングもほとんど終わっていた。
といっても彼は優しいからすぐに合格をくれて、次のステップに進んでくれるのだ。
もう少し厳しい採点を、と抗議したこともあったが、本人は充分だの一点張りだった。
まぁ、元々私もそこまでできるとは思ってないし。
私もようやく“人間らしい”生活を送り始めたような気がして少し嬉しかった。
「そういえば」
「?」
「この弓矢に、毒とか塗らないんですか?」
今日のトレーニングが終わり、休憩がてら、不意に最初の頃に感じた疑問をぶつけてみる。
毒。
古代のどの文明でも、武器の外部への威力が弱ければ内部からというのが鉄則だ。
この弓矢も実力が伴わないと動物を殺すのは中々厳しい。
羽京さんは海自だったらしいし、頭のいい司くんも思いついているだろう。
トリカブトなんてそこら辺にも生えてるし、毒キノコだってある。
だのになぜ、それをしないのか。
いやまぁ、人相手にしている訳でもないしそこまでする必要も無いと思うけれど。
「……君は使いたいの?」
「まさか!私はチキンですよ」
「そういうことさ……君は司の考えを、どう思う?」
「?……まぁ、あまり褒められたものとは言い難いですかね……」
ふふ、と柔らかく笑った後、躊躇いがちに聞いてきた。
「……僕は、脆い綺麗事ばかりで自分を正当化する卑怯者なんだ」
「……?」
ぽつりぽつりと、告白するように告げられたそれは、人として至極当然の思いだった。
このストーンワールドで自分を人たらしめる為の一線。
──人殺しの肯定
それをしたくない、と
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_____(プロフ) - 米さん» 米さん初めまして!コメントありがとうございます。文章が硬くなってしまうのが悩みでしたので、そのように楽しんでいただけたのなら幸いです!相変わらずの亀更新ですが、米さん含め、皆様に楽しんでいただけますよう頑張ります。 (2020年4月13日 21時) (レス) id: 0c0dd0f299 (このIDを非表示/違反報告)
米 - 文章が読んでいて楽しくて、いつも楽しみにしています。これからも陰ながら応援しております。 (2020年4月13日 18時) (レス) id: 2a29b7989a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:____(かせん) | 作成日時:2020年3月26日 12時