Dieci ページ12
ただのパズルなんかじゃない、立体パズルだ。
そんなの見ただけでも、聞いただけでもやりたがらないだろう。
手芸は根気。
まさにその通りだった。
「私も手伝うよ、手芸部の一員だしね!……部員じゃないけど」
てへ、と舌を出しておちゃらければ、少し気が重そうな雰囲気だった彼女の顔がやわらいだ。
二人いれば少しくらいは負担が減るだろう。
「なら、頼みましょうかな」
「おっし、任せんしゃい!」
そこら辺の葉っぱを取ってきて、少しだけ石像接着用の液を貰って乗せる。
今度は草を取ってきて、近くにあった平たい小石で解していく。
解したものを半分に折って重ねていく。
小枝を取ってきて、それを結びつければ、超簡易的な筆の完成だ。
本当は毛でやりたかったが髪の毛を毟るほどの勇気はないし、動物も今はいない。
仕方ない。
美術部員としてクラフトはやったことはあるし、手芸でも似たようなことをやったが、まさかここで役に立つとは……
初めて作ったにしては上出来な筆を握り、杠と場所分担をして行う。
彼女が上半身で、私が下半身だ。
パーツの断面と断面を見て、少しずつ、本当に少しずつ。
じりじりとくっつけていく。
じわじわと
気がつけば、キラキラと主張していた星達は、陽の光によって段々とその存在を潜めていた。
空が明るんで暁になってきた。
思ったよりも時間が経つのが早いと感じたのは、集中力のおかげか。
なんとも恐ろしいものだ。
作業ももう殆ど終わっており、今杠が持っているパーツをくっ付ければ、袋の中に入っていたものは全部終わりだ。
一度集中力が切れ、疲れを自覚すれば眠気というのは容赦がないもので。
メラトニンとかなんとかが、自己主張を強めてきた。
「よしっ」
どうやら杠も終わったようだ。
すぐに片付けて、来た道を戻る。なるべく物音を立てないように、速やかに。
どうせ今日も作業があるからと作業部屋に向かい、そこで二人でうずくまって寝た。
まだ春、初夏あたりだから掛布団が必要なほど寒くはない。むしろ心地よい。
全く、たった一回でさえこんなに疲れる作業を杠一人にやらせてたなんて。
石神くん、君ってやつは。
科学が好きでたまらないらしいダイコン頭に向かって悪態をつけば、そのお返しと言わんばかりに意識がすうっと遠のいていった。
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_____(プロフ) - 米さん» 米さん初めまして!コメントありがとうございます。文章が硬くなってしまうのが悩みでしたので、そのように楽しんでいただけたのなら幸いです!相変わらずの亀更新ですが、米さん含め、皆様に楽しんでいただけますよう頑張ります。 (2020年4月13日 21時) (レス) id: 0c0dd0f299 (このIDを非表示/違反報告)
米 - 文章が読んでいて楽しくて、いつも楽しみにしています。これからも陰ながら応援しております。 (2020年4月13日 18時) (レス) id: 2a29b7989a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:____(かせん) | 作成日時:2020年3月26日 12時