16話 ページ19
「あれ、小南なんか機嫌悪い?どったの」
「聞いてよ!Aが迷子になって時間を破ったの!」
「へー?迷子って」
「いやいや、ホントすみませんって〜」
小南先輩が少しお怒りな様子で迅さんへ返す。迷子という単語を聞いた迅さんはニヤニヤと馬鹿にするような表情でこちらを見てくる。
しゃーないじゃん。
「まあまあ、落ちつきなよ小南。つるまちゃんも反省してるみたいだし」
そう言ってヘラヘラと小南先輩に言い聞かせる迅さん。それを聞いた小南先輩も、いつもの表情に戻し、私の元へ近づいてきて「もう遅れないでよね」と、念を押した。
私もそれに頷き、小南先輩と微笑み合う。これにて解決。仲直り。
「あ!そういえば、1時くらいからボーダーの会見だったよね!テレビつけときましょ!」
と言って小南先輩はテレビの方へと向かった。
すると、迅さんが私に近づき、
「小南、つるまちゃんが約束を破ったから怒ってたんじゃなくって、時間通りにつるまちゃんが来なくて心配して怒ってたんだよ」
小南、つるまちゃんの事大好きだからね。
と、小声で言う迅さん。
何となく、今日の小南先輩はいつにも増して起りっぽいような気もした。
なるほど。だからか…。そう考えると、なんか嬉しいな。
「ありがとう、迅さん」
迅さんにお礼を言い、テレビを付けている小南先輩の元へ近づき、微笑みながら小南先輩に話しかけ、二人でテレビに向き直った。
「えっ!三雲くん入院してんの?」
「えっ!あんた知らなかったの?」
薄情ね〜。とジト目で言う小南先輩。
1時からのボーダーの会見まで少し時間があるため、小南先輩に三雲くんの容態について聞いていた。
どうやら大規模侵攻での三雲くんの怪我は思ったより酷かったらしく、しばらく寝込んでいて、昨日目を覚ましたらしい
「ま、迅が死なないって言ってたし、そこまで心配するほどじゃないわ」
「あ、そうなんだ…良かった」
迅さんの予知で死にはしないとのこと。よかった。
「にしてもあんた、お見舞い行ってないんでしょ?今日の会見終わったら病院行ってきなさいよ」
「ん、そうだね。そうします」
そう言われたので病院の場所教えて、と小南先輩に詳細を聞いた。
三雲くんとは同い年だし、折角知り合えたんだし、お見舞いくらい行かなきゃね。
「なら、おれもどうこうしよう」
「お、陽太郎まじ?じゃ一緒に行こか」
ソファに座ってどらやきを食べていた陽太郎も手をあげて同行すると言うので快く承諾する。
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あすか - めっちゃ面白いです。更新頑張ってください! (2022年11月30日 20時) (レス) id: 1e4bb1c648 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:べーた | 作成日時:2021年12月12日 15時