【短編集】君へ。【ヒプマイ】

・・ ページ17

起こさないように、そっと夢野先生の腕を解き、横にさせてそっと布団をかける。

「よし…」

そっと離れようとすると、腕を掴まれて身動きが出来なくなる。

「……何処へ、行くのですか……？」

眠そうな目をしながら私を見詰める夢野先生は、まるで私に「此処に入れ」と言わんばかりに布団を捲る。

「え…いや、あの……」

私が戸惑っていると、少しだけ不機嫌な顔をして私を強引に布団の中に入れる。

向かい合わせな為、先刻よりも近い距離に、心臓の鼓動が速くなる。

嬉しそうに微笑んだ夢野先生は、私の腰に腕を回して更に自分の方へと引き寄せる。

只でさえ近い距離が、もう鼻がくっつきそうな距離へと縮まるから、私の顔は熱くなる。

「ふふ、顔、赤いですよ？」

なんて言って小声で喋る夢野先生。

「ち、近いです…」

なんて言っても、夢野先生は聞いてくれない。

「小生は、疲れてるので、寝ますね…」

そう言って、また寝息をたて始める先生に、どうしていいか分からなかったけれど、取り合えず目を瞑った。

けど、何故かあまり眠れずに、夜が明けてしまった。

「…さん……Aさん？」

「ひ、ひゃいっ！あ……」

名前を呼ばれて目を明けると、未だに昨日の状態のままで私を見詰める夢野先生。

「ふふ、可愛いですね、ひゃいっ、て」

「わ、忘れてくださいぃぃ！」

わざわざ人の恥ずかしいことを言うから、朝から顔が真っ赤になる。

「ん〜、よく寝れましたよ、昨夜は」

そう言って私を漸く解放する。

「そ、そうですか…」

私はあまり眠れてないぞ、なんて心の中で呟き、玄関へと向かう。

「ふふ、結局最後まで気付きませんね？」

か扉に手をかけると、そう笑う夢野先生。

「何にですか？」

何かされただろうか？そう思って考えても、何も思い当たるものがない。

そんな私を見て、愉快そうに夢野先生は口を開く。

「小生は、昨日酔ってませんよ」

その言葉に一瞬倒れそうになるも、なんとか耐えて、聞き返す。

「え？」

そう私が言うと、先生は「ああ、」と何かを思い出したかの様に耳元に唇を寄せた。




「Aさんには、酔ってますよ」








_____
雪姫様！！如何でしょうか…？

夢野先生ちゃんとﾃﾞﾚてましたかね……？？「違う」、と思ったら、仰って下さい！

リクエスト、有り難う御座いました！！

神宮寺寂雷 / 猫と私と先生と→←夢野幻太郎 / 酔いました。

• 金　運: ★☆☆☆☆
• 恋愛運: ★★★☆☆
• 健康運: ★★★★★
• 全体運: ★★★☆☆

ラッキーナンバー

8

今日のラッキーカラー！

入間銃兎「俺の色に染まりたい？まだだな、まだ、早い」

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す