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神宮寺寂雷 / 大切だから尚更 ページ2

久し振りに兄との遠出。


「楽しかったかい?」


「うん。でも、お兄ちゃんも珍しくはしゃいでたね?」


「ふふ、そうだね。久し振りだったから、はしゃいでしまったのかも知れないね。このあと何処に行きたい?」


嬉しそうに、楽しそうに目を細める兄に、少しだけ見惚れる。我が兄ながら、綺麗な人だ…。


そう考えていると、ふと足を止めて私の方を向く。


「飲み物を買ってくるけど、何か飲みたいものはあるかな?」


「ん……紅茶」


「分かった。ちょっと待っててね?」


「(帰るにしても、なぁ……)」


そう言って兄は近くにあったコンビニに入っていってしまう。


兄の普段見せない、楽しそうな顔を見てしまっては、心配をかけれない。


そんなことを考えていると、形容しがたい痛みが頭を刺激する。


「は、ぁっ……」


体が重い。


「っ……」


飲み物を買って戻ってきた兄の心配する声と共に、私は後ろに倒れそうになる。


「っ……危ない…」


倒れて地面にぶつかる衝撃に備えて、目を瞑れば、兄のそう言う声と背中にまわる腕。


「お…兄ちゃ、ん…」


吃驚して上を見上げれば、心配そうな色を目に滲ませて、私を見つめる兄。


「我慢、してたのかい…?」


弱々しくそう尋ねる兄は、何時もの医者らしい感じはなく、純粋に私を心配する目をしている。


「朝から、頭を痛く、て…」


そう答えると「今日はもう帰ろう」言い、私を横抱きにする。


それに対してどうしたらいいか分からない私は、直ぐに大人しくなる。

……………

「これでよしっと……」


「ごめん、ね…」


枕の下に新しくした氷枕を入れて、冷えピタを貼ってくれる。


「全く。体調が悪いなら直ぐに言ってくれればいいものを…どうして言わなかったんだい?」


静かに叱るような、それでいて私のみを案じた優しい口調で私の頭を撫でながら聞く。


「だ、って…お兄ちゃん、中々、休み取れないし……無理、させたくない、から……」


辛いから、途切れ途切れになる言葉を必死で紡ぐ。


言い終われば、小さく溜め息を吐いて、私を見つめる。

・・→←おやたぬきから



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星妻桜@姉妹同盟(プロフ) - 主の心を俳句に 好きすぎる 推しイケメンか 無理しんど (2020年9月17日 2時) (レス) id: fe16128dce (このIDを非表示/違反報告)
おやたぬき(プロフ) - 綾海さん» 了解です!リクエストありがとうございます!!さては寂雷先生推しですか??()遅くなりますが、気長にお待ちください! (2019年2月20日 22時) (レス) id: 42caa9770f (このIDを非表示/違反報告)
月華姫(プロフ) - こんばんわ!リク受付ありがとうございますm(__)mはい!完成ゆっくり楽しみにお待ちしています♪おやたぬき様のペースで此れからも頑張ってください!!ではまたっ (2019年2月20日 21時) (レス) id: 8c63610ac2 (このIDを非表示/違反報告)
おやたぬき(プロフ) - 月華姫さん» 了解しました!!遅くなってしまうかもしれませんが、気長に待っていただけると嬉しいです!リクエストありがとうございます!! (2019年2月20日 21時) (レス) id: 42caa9770f (このIDを非表示/違反報告)
綾海(プロフ) - リクエストで、交通事故でPDSDになってしまった夢主(寂雷先生の年の離れた妹)と寂雷先生のお話がみたいです。 (2019年2月18日 20時) (レス) id: ba228ed2f1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:おやたぬき | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/sakuhi/  
作成日時:2018年9月27日 21時

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