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-過去-
「ちょっと!あんたどういうことよ!!」
「も、申し訳ありません」
ある日私は無駄にプライドの高そうなおばさんの客に怒鳴られた。
彼女はカプチーノを頼んだはずなのに、持って行くと「私はカフェラテを頼んだのよ」と言ったのだ。
その時、私はすぐに謝れば良かったのだ。
そしてすぐに新しいカフェラテを入れて持っていけば良かったのだ。
「あの、お客様、先ほどカプチーノと…」
「なに!?私が悪いの!?あんた自分のミスを客のせいにすんの!??」
「いえ、そんな訳では…」
店内は混んでいて、手を止める暇がないくらいだった。
だからソクジンさんも優しい先輩も、私を心配そうにチラチラ見るだけだった。
みんな自分の仕事で精一杯だったのだ。
「本当に、申し訳ありませ…」
ばしゃあ、
びっくりした。
腕がびっくりするほど熱くなった。
なに?
なにが起きたの?
状況を冷静に確認してみた。
周りから「きゃあ…」と別の客の叫び声。
熱くて痛い自分の腕を見る。
カプチーノが私にぶっかけられていた。
腹部あたりだ。
制服にシミができていて、私からカプチーノが滴り落ちている。
腕にも直撃したようだった。
みるみる内に腕は赤くなる。
周りがざわざわする。
「ごめんなさいね、手が滑っちゃったの」
目の前のおばさん客はニヤニヤしながらそう言ったのだ。
クソババア…
そう言ってやりたかった。
なのに口から出てこない。
私は震えて泣いていた。
自分は、自分が思うほど強くなかったみたい。
カプチーノのかかった腕がすごく痛かった。
「Aちゃん!大丈夫!?」
後ろからソクジンさんの声。
俯いていた顔を上げた。
ソクジンさんに「すみません」と言おうとして。
でもそれよりも先に目に入った人物。
チョン ジョングクだった。
彼は持っていたアイスコーヒーを、そのクソババアにぶちまけた。
しかも顔面に。
クソババアは「ごぶぁ!」と豚みたいな声を出してその場に転んだ。
「あ、すみません。手が滑っちゃいました」
うおおおおお!!
と周りから歓声が上がるのが聞こえる。
「クソガキ!!」と言ってクソババアは慌てて店を出て行った。
私はその間、ずっとチョン ジョングクから目が離せずにいた。
捕らえられてしまったかのように。
彼も私を見つめていたからだ。
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う - 最高すぎる! (2021年8月27日 0時) (レス) id: e80e14e0ea (このIDを非表示/違反報告)
優(プロフ) - 名作すぎます (2020年1月23日 3時) (レス) id: b6570be25e (このIDを非表示/違反報告)
ぺう(プロフ) - とても良かったです。 (2019年2月4日 12時) (レス) id: 8883837a46 (このIDを非表示/違反報告)
cooky - とても、感動する作品でした!!!最後、ハッピーエンドになってよかったです。けれからも、がんばってください♪ (2019年1月16日 1時) (レス) id: 13ad5ea90e (このIDを非表示/違反報告)
あき(プロフ) - めっちゃ好きで、もう何回も読んでます (2018年10月24日 21時) (レス) id: f12f5d2dd3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ソラン | 作成日時:2018年8月31日 12時