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-過去-


父と母が亡くなった。

父方の祖父母も亡くなっている。

母方の祖父母とは、両親が仲が悪かったらしく絶縁状態だった。



私は高校を卒業してから行く宛もなく、頼る人もいなく、つらかった。

もちろん大学になんて行けない。


大邱にいるよりも、ソウルに出た方が色々な可能性があるんじゃないかと希望を持った。



ソウル市内に10店舗以上を構えるコーヒーチェーン店、ホリデイコーヒー。

そこに就職した。


両親が残してくれたお金は葬儀代と引っ越し代で残りわずか。

どうにかして生きていかなきゃ。


「あの、ソクジン店長…」

「ん?なに?Aちゃん」

「シフトをたくさん入れて欲しいんです!」

「えっ、うーん、どうして?」

「お金が全然なくて…」


ソクジンさんは私のお昼ご飯を見てから「うん、仕方ないなぁ〜」と笑顔で了承してくれた。


お金がなかった私の昼食は、腐りかけて安くなった野菜をボイルしただけのものだったから。

タッパーにいつもしなしなになった野菜を詰めていた。


「A、それで足りるの?」

「うん、大丈夫」

同僚にいつも心配された。


たまにお店で出しているケーキをソクジンさんがこっそりくれる。


「これ賞味期限あと1時間で切れちゃうやつ」

「良いんですか??」

「どうせもうお客さん来ないから」


彼はいつも私を心配してくれた。

まるでお兄さんができたみたいで嬉しい。



ホリデイコーヒーで働き出して半年ほど経った時。

とうとう芸能人を目撃した!

と、思った。


それほどカッコいい男の人が現れたのだ。


「すみません…、カフェラテ1つ」

「かしこまりました」


顔に似合わず、少しだけ戸惑った様子の彼はとても魅力的だった。

そしてホリデイコーヒーのメンバーズカードをひょいっと出してくる。


このお店で作ったものではなかった。

少し離れた支店名が記載されていた。


オフィス街だ。


彼は働いているのだろうか?

すごく若く見えるけど…


そして思わず名前を確認してしまった。


チョン ジョングク


へえ。

少し古風で男らしい名前だなぁ。


注文されていたカフェラテが出来上がり、彼の席へ持って行った。

彼は読書するでも勉強するでもなく、窓際の席でぼんやりと外を眺めていた。

どこか悲しそうな瞳に釘付けになってしまう。


「おまたせ致しました…」

「あっ、ありがとう、ございます」


彼の優しい笑顔に胸がドキドキした。



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設定タグ:防弾少年団 , BTS , ジョングク   
作品ジャンル:恋愛
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- 最高すぎる! (2021年8月27日 0時) (レス) id: e80e14e0ea (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 名作すぎます (2020年1月23日 3時) (レス) id: b6570be25e (このIDを非表示/違反報告)
ぺう(プロフ) - とても良かったです。 (2019年2月4日 12時) (レス) id: 8883837a46 (このIDを非表示/違反報告)
cooky - とても、感動する作品でした!!!最後、ハッピーエンドになってよかったです。けれからも、がんばってください♪ (2019年1月16日 1時) (レス) id: 13ad5ea90e (このIDを非表示/違反報告)
あき(プロフ) - めっちゃ好きで、もう何回も読んでます (2018年10月24日 21時) (レス) id: f12f5d2dd3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ソラン | 作成日時:2018年8月31日 12時

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