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エイプリルフール編その2 ページ28

「今日が何の日か、だと?」
そういわれて、不動は考える。
が、思い出せなかった。まるでゲームのテクスチャバグのようにその部分だけが不明瞭で、どうしてもわからない。
「ふふふ、全く見当がつかないといった顔だね」
「ぐ…」
勝ち誇ったような笑みを浮かべる美影に多少いらつくも、図星であるので黙るしかなかった。
「正解はー…」
美影が顔の横に拳を握り、ぐっと溜めるようなジェスチャーをする。
何か来る。
不動はそれに合わせて腰を落とした。
「社内運動会の日でしたー!!!」
が、間に合わない。
一瞬早く美影の放った異能が、不動の影をまるで液体のように操り、不動を包み込む。
「おい、美影…!!」
叫び声は、まるで袋のように不動と外界を遮断する自らの影によって黙殺された。
暴れようにも影が邪魔で手足が動かない。そもそも不動の記憶によれば、探偵社に社内運動会などという行事は存在しなかった。
それに、突然何の脈絡もなく訳の分からない話を始める美影の意図が全くわからない。
不動はただ闇の中で混乱していた。

そして、解放の時は突然やってきた。
突如として視界が開けたかと思うと、不動は校庭の真ん中に立っていたのだ。目の前にあるのは、白線で引かれたレーン。不動は混乱を深めた。
探偵社の近くに、学校なんてあっただろうか?
運動会とは一体なんだ?
いや、少し前まで俺は温泉街にいたのでは?
いや、それよりも、美影は何が目的でこんなことを?
不動が処理しきれない情報を前に思考をオーバーヒートさせていると、隣から声が聞こえた。

「不動さん!不動さんですか!?」
見れば、そこに立っていたのは…武者だ。何やら三日月型の飾りがついた兜を被り、重そうな鎧を着ている。不動は思わず半歩下がった。
「…いや、違う。俺は不動なんていう名前ではないしお前のような普段から鎧を着こなしているような変人とは知り合いでもない多分人違いなんじゃないかそれじゃあさようならもう会うことも無いだろう」

そこまで一息で言い切って立ち去ろうとすると、武者が焦ったように声をあげた。
「僕です僕!廣瀬です!!」

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神羅(プロフ) - 蛍火さん» すみません、もう締め切っておりまして……。それに、今は殆ど機能しておりませんので……。ボチボチ更新しなければと思うのですが、私も一応受験生でして……。すみません。 (2018年7月9日 23時) (レス) id: 57d9444f68 (このIDを非表示/違反報告)
蛍火 - お話読ませていただきました。もしも席がまだ空いているのなら、社員として、入らせていただけると嬉しい所存でございます。この小説を読もうとしたきっかけは、ラハルちゃんの紹介です。お考えの方よろしくお願い申し上げます。 (2018年7月3日 14時) (レス) id: 62a90d8188 (このIDを非表示/違反報告)
神羅(プロフ) - 浅葱さん» 頑張ります! ちょこちょこ更新しますね (2018年3月4日 21時) (レス) id: a22dd21ad8 (このIDを非表示/違反報告)
浅葱 - すごい、面白いです!更新待ってます!! (2018年3月3日 13時) (レス) id: 2921f40b7a (このIDを非表示/違反報告)
神羅(プロフ) - 花園イリアさん» はい! おかげさまで突入できました! 不定期更新ですが、これからもよろしくお願いいたします(^-^ゞ (2017年5月5日 14時) (レス) id: a22dd21ad8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:神羅 | 作者ホームページ:http:  
作成日時:2017年4月27日 0時

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