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「みかん食べないの?」
「今はいいじゃん」
「ココア飲みたい」
「後でいいじゃん」
「じゃんじゃん病?」
「うっせ」
更に強く頭を擦り付けて、予測不能の動きを繰り返す。
それに私も反応するから、瞬く間に体が温まってきた。
室内温度を一気に上げる魔法の持ち主は紫耀なのかもしれない。
相変わらず猫背なところも、握り出したら簡単には離してくれない手も、
自分が言い返せなくなったら口が悪くなるところも、全部好き。
「あったかいね」
「俺のおかげだべ?」
「コタツのおかげでしょ」
「おい」
「うそー」
今度は押し倒された。ぬくぬくのコタツの中で絡まる足。
ほら、全然怒ってないくせに、口角上がっちゃってるよ。
口実と言ったら嘘だけど、それなりに期待した。
だって、好きって思った。キスしたいって思った。
「いい?」
「いいよ」
「シながら寝んなよ」
「寝ちゃったらごめ、ッん……」
言い切る前に塞がれた唇。
ガタンとズレたテーブル、転がるみかん。
降りしきる雪が積もるように、私たちの愛も止むことを知らない。
どんな季節もあなたと共に同じ場所で感じていたいから。
あなた色の世界に染めてよ、これからもずっと。
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まきこ(プロフ) - 全部のお話すごく好きです!!甘えてくれる紫耀くん可愛すぎますね!またいろんなお話読めるの楽しみにしてます^ ^ (2021年2月14日 8時) (レス) id: cfbbd37a93 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:詠夢 | 作成日時:2021年2月7日 1時