Colors 【短編集】

結ぶ:センラ ページ47

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彼氏の家に泊まりにお邪魔をした。仕事終わり、駅で待ち合わせて、一緒に食材を買って、少し新婚さんみたいだな、なんて思ったのは秘密。


「よし、作ろっか！」

「せやな。先に着替えてくるわ。」

そう言って、ジャケットを脱いで、ネクタイを緩めたセンラ。姿になるなぁ…。

「…ネクタイって、どやって結ぶの？」

「へ？」

ぱちくりと目を瞬かせたセンラと何故か数秒、見つめあった。

「結んだこと無いなって。」

「まあ、女の人は、制服がネクタイとかや無いと結ばんしねぇ。」

結んであげましょか？とシュルッとネクタイを外したセンラがかっこよくて思わず頷いた。

「ほな、失礼しますよー。」

さっきまでセンラの首に付けられていたネクタイが私の首にかけられた。


「…こっち側で結ぶんって難しいんやけど。」

何度か結び直したかと思えば、私の背後に回って来たセンラ。にゅっと、後ろから手と腕が伸びて来てネクタイを手に取る。

「ちょ、ちょ、」

「なんです？」

…側から見たら凄い体勢だと思うんだけど。ネクタイを結ぶのに必死なセンラは気付いていないらしい。


「よし、出来た。…A？」

時間にして、１分もかかってないはずなのに、体感時間はけっこう長くて、私の顔は赤くなってるのが自分でもわかる。


「何、照れたん？」

「…結んでくれてありがとう。外していい？」

「いやや。折角結んだし。」




本当は正面でも結べます、なんて。

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