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185.夢現 ページ35

 



 父の部屋を出ると、縁側で千寿郎に会った。


「あ…兄上!父上は喜んでくれましたか?

 俺も…柱になったら父上に認めてもらえるでしょうか?」


 俺は床に膝を着いて、千寿郎の目線に合わせると、
 
 彼の腕を掴んで口を開いた。


「正直に言う。父上は喜んでくれなかった。

 どうでもいいとのことだ。しかし、そんなことで

 俺の情熱はなくならない!心の炎が消えることはない!

 俺は決して挫けない!そして千寿郎。お前は俺とは違う!

 お前には兄がいる!兄は弟を信じている!

 どんな道を歩んでも、お前は立派な人間になる!

 燃えるような情熱を胸に頑張ろう!

 頑張って生きていこう!寂しくとも…」

 
 千寿郎を強く抱きしめると、

 肩に温かい雫がいくつも落ちてきた。


 大丈夫だ、千寿郎。お前には俺がついている。




 千寿郎が剣を見て欲しいと言うので、

 庭に出て彼の素振りを見ていた。


「そんなに焦って振り下ろす必要はない。

 肩の力を抜いて。」


「こう?」


「そうだ。」



 歩む速度は違えど、確実に成長をしている。

 気持ちも焦ることはないんだ。



 しばらくして、

 休憩をするために二人で縁側に腰をかけた。

 千寿郎と何気ない会話をする時間は幸せだ。



 すると聞き覚えのある声が後ろから降ってきた。


「杏寿郎、戻ったんだね。」


 振り返ると、そこにはずっと会いたいと願っていた

 Aの姿があった。


「A…?」


「炎柱就任おめでとう。

 怪我も良くなったようで…」


 俺はAを強く抱きしめた。

 目の前に愛しい人がいる。抱きしめることができる。


「…びっくりした。杏寿郎どうかしたの?

 なんだか恥ずかしいよ…」


 顔を真っ赤にして照れる彼女は、いつもと変わらない。


「もう少しだけ。もう少しだけで良いから…

 こうしていて欲しい。」


 Aは「分かった」と言うように、

 俺の背中に手を回して優しく撫でてくれた。




 これは夢?


 それとも今までのことが…夢?


 
 今までのことが…きっと悪夢だったのだろう。

 そう…だろう?



「あっ!ぼ、僕は夕餉の買い出しがあるのでしたっ!!

 ごゆっくりなさってください!」



 千寿郎は頬を赤くしながら、慌ててその場を後にした。



 ゆっくりと身体を離すと、

 彼女の綺麗な瞳に俺が映し出された。


 





 ー 幸せだ。

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設定タグ:煉獄杏寿郎 , 鬼滅の刃 , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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狐姫(プロフ) - 小鈴さん» 感想ありがとうございます!最後までお読みいただき光栄です。物語は読んでもらってこそ生きるものだと私は思うので、この作品を見つけてくださり、そして読んでくださったこと、本当にありがとうございます! (2022年11月15日 18時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
小鈴(プロフ) - 素敵なお話をありがとうございました。途中からずっと、涙なしでは見られませんでした。この作品の主人公と煉獄さんに出会えて本当に良かったです! (2022年11月14日 22時) (レス) @page50 id: 97399e389e (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - misakimiさん» 最後までお付き合いいただき、感謝申し上げます。主人公に感情移入し、物語に入ってもらってこそ、この小説の醍醐味と思い作っていたので、大変光栄です!あたたかいコメントにいつも励まされておりました。ありがとうございました! (2022年7月16日 7時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
misakimi(プロフ) - 読了が遅くなりました。お疲れ様でした。長らく愉しませて頂きました。現し世でなくても、ハッピーエンドとは!こういう纏め方もあるのかと感心です。彼女の気持ちに入り込んでいたため、逢いたいけど早いよと涙しました。 (2022年7月15日 16時) (レス) @page50 id: cb1d4026ae (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - 美桜さん» ありがとうございます!起承転結の「転」は恐らく読者様の予想を超えるものになってしまったかもしれません。しかし、美桜さんのように嬉しいお言葉をいただけると、作者として本当に幸せです♡最後まで読んでくださり、ありがとうございました! (2022年7月10日 15時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:狐姫 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/kohime_yume  
作成日時:2022年6月12日 13時

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