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145.正直者 ページ45

「来年の夏ですか!

 ついにAさんが僕の姉上に…

 とても嬉しいです!おめでとうございます!」


「うむ!ありがとう!」


 顔を綻ばせる千寿郎くんは自分のことのように

 嬉しそうで、一緒にいる私が幸せな気持ちになれる。

 
 少しずつ秋から冬に近づいた世界は、

 ひんやりと冷たい空気を纏っている。

 私の両親への挨拶からそれほど時を待たずして

 私たちは煉獄家を訪れていた。


「千寿郎くん、ありがとう。

 あなたのお姉さんになれることを心から幸せに思います。」



「千寿郎、父上に挨拶をしたいのだがいらっしゃるか?」


「はい!自室に。」


 杏寿郎が私に目配せをすると、

 私は彼の後をついて槇寿郎様の自室へと向かった。




 槇寿郎様への挨拶は無事に終了した。結論から言うと、

 槇寿郎様には一応、結婚を認めてもらえた形となった。

 相変わらず「好きにしろ」「どうでもいい」

「早く鬼殺隊なんてやめろ」という言葉を並べてはいたが、

 去り際に「幸せになれ」と小さな声で呟いたのを

 私は聞き逃しはしなかった。




 挨拶を終えた私たちは、

 杏寿郎の自室で任務の支度をしていた。


「失礼します。兄上、Aさん、お茶でもどうですか?」

 
 障子の向こう側から千寿郎が問うた。


「うむ!いただくとしよう!A、着替えは済んだか?」


 背中合わせで支度をしていたので、

 彼の着替える衣擦れの音が耳に木霊し、

 乾いた空気に私の鼓動が鮮明に聞こえてしまいそう。

「終わりました。」

 私は淡紅色の羽織を羽織ると、髪を結い直した。

 その様子を見ていた杏寿郎と目が合い、

 私が首を傾げると、彼は頬を紅潮させた。


「…色っぽいな!」


「へっ!?」


「あ…すまない!つい口に出してしまった。」


 じわじわと体温が上がっていき、

 耳の辺りが痛いくらいに熱くなる。

 すると、不意に障子が開いて、千寿郎くんが入ってきた。


「お茶をお持ちしまし…

 ん!?兄上、Aさん!?大丈夫ですか!?

 お二人とも顔が真っ赤です…!!」


「だ、だ、だ、大丈夫!!今日は暑いよね〜!」

「え!?Aさん、もう時期に冬ですよ!?

 やはり体調が良くないのでは…」


 千寿郎くんは慌てて私に駆け寄り、私の額に手を当てた。


「わっ!熱いです!兄上は…」


「千寿郎!案ずるな!

 互いに心臓が早鐘を打っていただけだ!」


「もうっ!杏寿郎の馬鹿っ!」

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設定タグ:煉獄杏寿郎 , 鬼滅の刃 , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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狐姫(プロフ) - misakimiさん» misakimiさん、コメントありがとうございます!夜空に咲く花のシーンは、私自身お気に入りのシーンなので、そう言っていただけて、とても嬉しいです!ありがとうございます。 (2022年6月12日 20時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
misakimi(プロフ) - 夜空に咲く花を背にした二人の情景が浮かぶ綺麗な文章にも癒されました。 (2022年6月12日 18時) (レス) @page44 id: cb1d4026ae (このIDを非表示/違反報告)
misakimi(プロフ) - ストレートに伝えて下さる煉獄さんに、またまた癒やされました。本日もご馳走さまでございます! (2022年6月12日 18時) (レス) @page43 id: cb1d4026ae (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - エリスさん» エリスさん、応援ありがとうございます!ずっと読んでくださっているだなんて感激です♡ 更新の励みになります!ぜひ、最後までお付き合いくださいませ。 (2022年5月5日 0時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
エリス(プロフ) - 第三弾おめでとうございます^ ^こっそりとずっと読んでます(笑)これからも応援してます! (2022年5月4日 23時) (レス) @page12 id: 8779dd4f89 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:狐姫 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/kohime_yume  
作成日時:2022年4月27日 20時

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