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113.暗闇に光る牙 ページ13

 ぎゅっと絡められた小指を握り返す。



「私もあなたの背中を守ります。

 誰よりも信じている。」




 


「おい…貴様ら…人の家で何をしている?」




 背筋が凍るような低く恐ろしい声に身体が硬直する。




「お前がここに巣食う鬼だな?

 罪なき人を傷つける者は何人たりとも許さない!」




「傷つける…?

 よくもまあ、人間がそんなことを言えたものだ。」



 洞窟の暗闇の中から現れたのは

 正しく狼というに相応しい出立の男だった。

 

 黒髪…涼しそうな目元…背丈は6尺を超えているだろう。



 私はもう一つ確認するために一気に鬼と思われる男に

 詰め寄った。




「手…三角を描くような黒子が3つ…」



 間違いない。この男がこの周辺の市街で噂される鬼だ。




「お嬢ちゃん、女のくせしてそんなに近づくと危ないぞ…?」



 くる…!!



「女だからと甘く見ないで…」



 

 鬼が私に噛みつこうとした瞬間、

 私は身を翻して攻撃を交わし、背後へと回った。




「残念だが、

 彼女は俺が背を預けられるほどの実力を持つ女性(ひと)だ。

 それに男のくせに、女のくせに、というのは

 (いささ)か平等に反する思想だ!」




 鬼は暗闇の中でも目立つほどの白い牙を

 見せつけるかのように、口角を上げた。



「そうかい…それは悪かったな…

 平等?フンッ。笑わせてくれるなよ。

 俺はいつだって虐げられてきたんだ。

 どの時代も…誰も手など差し伸べてくれやしない。



 裕福な家庭に生まれていれば…

 頭が良ければ…容姿が良ければ…


 きっと違ったんだろうな。」




 鬼気迫る様子に私たちは刀の(つか)に手をかけた。





「俺はな、親に捨てられ…狼に育てられたんだよ。

 そんな経験などないお前らには何も理解できぬだろう!!」




 鬼は杏寿郎を目掛けて駆け出した。





 両手を地につけて駆け回る姿は…



「狼…」





「炎の呼吸 壱ノ型 不知火!!」



 彼の繰り出した技があたりを明るく照らす。

 この場で仕留めなければ…!




「悪いが今宵は満月なのだ。


 俺を虐げた人間どもの苦しむ顔を見るのが

 楽しみでしょうがない。

 だからお前たち鬼殺隊などに構っている暇はない。」




 速い…!!


 鬼は洞窟の外へと向けて駆け出した。






「A!すぐに追うぞ!」

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設定タグ:煉獄杏寿郎 , 鬼滅の刃 , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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狐姫(プロフ) - misakimiさん» misakimiさん、コメントありがとうございます!夜空に咲く花のシーンは、私自身お気に入りのシーンなので、そう言っていただけて、とても嬉しいです!ありがとうございます。 (2022年6月12日 20時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
misakimi(プロフ) - 夜空に咲く花を背にした二人の情景が浮かぶ綺麗な文章にも癒されました。 (2022年6月12日 18時) (レス) @page44 id: cb1d4026ae (このIDを非表示/違反報告)
misakimi(プロフ) - ストレートに伝えて下さる煉獄さんに、またまた癒やされました。本日もご馳走さまでございます! (2022年6月12日 18時) (レス) @page43 id: cb1d4026ae (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - エリスさん» エリスさん、応援ありがとうございます!ずっと読んでくださっているだなんて感激です♡ 更新の励みになります!ぜひ、最後までお付き合いくださいませ。 (2022年5月5日 0時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
エリス(プロフ) - 第三弾おめでとうございます^ ^こっそりとずっと読んでます(笑)これからも応援してます! (2022年5月4日 23時) (レス) @page12 id: 8779dd4f89 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:狐姫 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/kohime_yume  
作成日時:2022年4月27日 20時

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