【鬼滅の刃】炭治郎くんと！ (ページ10)

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「どこか痛いところや苦しい所はないか！？」

土足で蝶屋敷を駆け回る伊之助を止めようとしたら曲がり角でAとぶつかった。伊之助がAの上に被さって、その上に俺が乗っかったような転び方をしたので、Aにはとんでもない体重がかかっただろう。下から呻き声が聞こえた時には背中からの冷や汗が止まらなかった。

身体の異常が無いかを聞くと、少しむせこんだまま「大丈夫」だと返された。嘘をついている匂いはしなかったが、俯いていた顔はきっと歪んでいたと思う。

「本当にすまない、完全に不注意だった……もうなんて言えばいいか」
「ううん、平気。走り回れるくらい元気なのは、悪いことじゃないもの」
「そ、そういう訳じゃない！」
「だって炭治郎凄く謝ってくれてる。その気持ちでいてくれるだけで十分」

乱れていた前髪をはにかみながら整えてそう言ったA。相変わらず人を怒ることを知らない優しすぎる人格が悪い結果を迎えないか心配になる。……優しいのはいいことだけど。

「……本当に、どこも怪我はしていないな？」
「あは、なんか炭治郎お兄ちゃんみたいだよ？」
「Aみたいに小さな子は少しの怪我でも心配で仕方がないんだよ」

訓練をしているから街の女の人よりははるかに強い身体。だけど俺より狭い肩、薄い背中、細い指先──まだまだ俺より弱いところがいっぱいある。壊れて取り返しのつかないことになってしまうことだけは怖い。

頭の上に手を乗せてゆっくりと撫でる。

「もし後からどこか痛み出したりしたら言ってくれ？」
「もう……心配症だね」

そのまま撫で続けていると、瞳をとろん、と蕩けさせて眠そうな表情で俺を見つめ出したA。心臓に悪い表情だ、と心の中で苦笑いをしながら、そのまま眠りについたAを背負って歩き出すのだった。

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