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#123『闇と光』 ページ37

「今度そのパン屋、教えますよ」


朔の言葉に敦はありがとう、と礼を言った。









国木田は鏡花と敦に説教を始め、与謝野がそれを止めた。その後、国木田は与謝野に良い潰されてしまった。


そんな様子に苦笑いしながら朔は鏡花に話しかけた。


「入社おめでとうございます」


鏡花は満面の笑みを浮かべた。


「ありがとう」


「でも、何で私を助けたの。最初は軍警に逮捕させようとしてたのに」


その言葉に朔は頭をかいた。どうやら橘堂での国木田と敦の会話が聞こえていたようだ。


「泉さんを一度精神的に追い込む必要があったからです。

勿論最終的には泉さん自身の意志で白鯨に無人機をぶつけ、ヨコハマ墜落を阻止するというシナリオです。

でも、泉さんが僕と太宰さんの説得に応じ無かったら、という懸念が無い訳では無かったので」



朔は一度口を閉じ、鏡花を見た。鏡花はつぶらな瞳で朔を見ている。


「一度失礼ながら泉さんをドン底に堕とさせてもらいました」


「でも、それは不必要な事でした」


朔は微笑み、鏡花の頭を優しく撫でた。
鏡花は猫みたいに目を細め笑った。


「貴女は強かった。精神的にも」


朔は鏡花の頭から手を離し、真顔になった。


「でも、それは貴女の心に傷を作ってしまいました」


朔は心の中で、本心じゃ無いことも言ってごめんなさい、とも付け加え鏡花に頭を下げた。


「ごめんなさい」


朔は頭を上げた。鏡花は大丈夫というように首を振っていた。


「大丈夫。貴女に救われた。それだけでいい」


残酷な程優しい子だ。

尾崎は言った。


『闇に咲く花は闇にしか憩えぬ』


と、でも鏡花はきっと闇に咲く花では無い。

鏡花は優しい。闇にずっと留まればいずれ自分の身を自身の優しさで破壊してしまう。

幾ら暗殺術に長けているとしても根っからは優しいのだ。

食べ物を頬張ってる鏡花を見た。
彼女はまだ慣れない事が多々あるだろう。探偵社は基本的人を殺してはいけない。

上手く行かないことは人を殺して解決してきた鏡花にはそれはかなりの壁になる。

#124『日陰者』→←#122『皆を救った笑顔』



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飛沫(プロフ) - hurukawaさん» いえいえ、すみません。是非最後まで見てください。 (2021年1月15日 18時) (レス) id: 06a707eb14 (このIDを非表示/違反報告)
hurukawa - 見れました!ありがとうございます! (2021年1月15日 18時) (レス) id: be99c0bfdf (このIDを非表示/違反報告)
飛沫(プロフ) - hurukawaさん» ご指摘ありがとうございます。こちらの不手際で非公開になっておりましたので、それを解除しました。見れるようになれたと思います。すみませんでした。 (2021年1月15日 18時) (レス) id: 06a707eb14 (このIDを非表示/違反報告)
hurukawa - #96がないです (2021年1月15日 17時) (レス) id: be99c0bfdf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:飛沫 | 作成日時:2020年3月16日 15時

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