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#114『向き不向き』 ページ29

次は泉鏡花だ。彼女は軍警に逮捕され、今は無人機に乗っている。


「やあ、鏡花ちゃん聞こえるかい? 太宰だ。特務課と交渉してね、取り敢えず君を地上に下ろせる事になった」



返答は何も無い。

きっと蹲っているのだろう。自分の哀しみを持て余している、幼い頃の朔のように。


「その無人機の操縦方法を教えますよ。先ず・・・・・・」


朔は特務課から貰った無人機操縦方法のUSBをパソコンに刺し、展開した。


『いい』


「!」



『もういい、私は、何も』


「そうですか」


朔の笑みを含んだ声が無人機にコダマした。

朔はパソコンから手を離した。



「本当の事を言うとね。探偵社には君を救助する理由が無いのだよ。

何故なら君はまだ社員では無いからだ。探偵社には入社試験があり、君は未だそれを通過して無い。


探偵社員として見知らぬ人でも助ける心の強さを持っているか試すし試験だ」

「・・・・・・私には、きっとその試験には・・・・・・」



「合格しない、ですか?」


泉は顔を上げた。自分が光に居るべきだと言った人間がそこに居いた。

「お久しぶりですね。泉さん」

その声に温かみは無かった。
そうか、この人は少なからずや私の逮捕を望んだ人だった。


「気に入らないな」


太宰の鋭い声で言った。
その言葉には『怒り』が含んでいる。


「“元殺し屋は善人になる資格は無い”・・・・・・君は本気でそう思っているのかい?」


太宰の脳裏に浮かび上がったのは『殺しをしないマフィア』と呼ばれていた。かつての友人だ。



「鏡花ちゃん、人には向き不向きがある。そして君には明らかな殺しの才能がある。だから君は探偵社員にはなれない。君はそう思っている」


太宰は『Lupin』のパッチ箱を哀しみが混じった目で見た。


「全く莫迦莫迦しい。その考えが如何に根拠薄弱か一秒で証明して見せよう。鏡花ちゃん君はその手で何人殺した?」



『・・・・・・35人』



泉は絞り出す声で言った。


「高が35人位なんて何だ?」


泉の目に光が灯された。

朔は目をつぶって太宰の話を聞いていた。


「いいかい鏡花ちゃん。君は探偵社の凡てを知らない。

凡てを知る事は誰にも出来ない。それを『可能性』と云うんだ。

君に契機をくれた敦君だって、元は災害指定猛獣だ。でも彼は今、その近くの空域で命を懸けて戦っている。街を守る為にね」


敦は自身の過去、軛に抗いながら必死に生きている。
そして自身の命を懸け、この街を守ろうとしている。

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飛沫(プロフ) - hurukawaさん» いえいえ、すみません。是非最後まで見てください。 (2021年1月15日 18時) (レス) id: 06a707eb14 (このIDを非表示/違反報告)
hurukawa - 見れました!ありがとうございます! (2021年1月15日 18時) (レス) id: be99c0bfdf (このIDを非表示/違反報告)
飛沫(プロフ) - hurukawaさん» ご指摘ありがとうございます。こちらの不手際で非公開になっておりましたので、それを解除しました。見れるようになれたと思います。すみませんでした。 (2021年1月15日 18時) (レス) id: 06a707eb14 (このIDを非表示/違反報告)
hurukawa - #96がないです (2021年1月15日 17時) (レス) id: be99c0bfdf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:飛沫 | 作成日時:2020年3月16日 15時

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