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#113『新たな双黒』 ページ28

ブルブル


太宰は顔を顰めた。

通信室の静寂を切ったのは一通の電話だった。



太宰は電話を取ろうとしない。


朔は代わりに取った。


「はい」


『ご機嫌かね、太宰君。否、今の声だと萩原君か』


幼女趣味で名高いポートマフィア首領森鴎外が電話をかけてきたのだ。

太宰は嫌そうな顔をしながら無言で切ろうとした。


『待って、切らないで』


森の焦った声が聞こえた。


「何ですか森さん。マフィアには探偵社の作戦の邪魔をしないよう協定を結んだ筈ですが」



太宰が素っ気なく言った。



『その協定だが今、部下から報告があってねぇ…守れそうもないのだよ』

森の言葉の直後の事だ。



『芥川…!』


『人虎…!』



衝突が始まってしまった。

敦の声から矢張り双黒の片割れは芥川龍之介のようだ。

二人は殴り合いを初めている。

太宰と中也すら悪口の応酬で収まっている。


朔の隣で太宰がため息をついた。


「芥川君の独創癖は相変わらずだなぁ・・・・・・仕方ない」

「敦くん、彼に関わってる暇は無い先に進もう」



『ですが』


「大丈夫、私の言う通りにすれば問題なく逃げられるよ。先ず・・・・・・」



太宰の作戦は予想通りえげつなかった。

芥川の太宰に対する異常な程の忠誠心を悪用した物だ。
朔は太宰を軽蔑した目で見た。


『芥川、今これは太宰さんと繋がっている。話があるそうだ』


その瞬間敦はインカムを遠くに投げ捨てた。



『太宰さん!!』



芥川の悲愴な声がヘッドホンから聞こえて来た。


「朔君」


朔はインカムとの通信を切った。


「・・・・・・酷い人ですね」


「合理的ってやつだよ」

太宰の言い訳に朔は口角を上げた。

マフィア幹部だった時、太宰は芥川に酷く当たっていた。でも、それが芥川思っての行動だとしたら・・・・・・不器用な人だなあ、朔は思った。




「次行きましょうか」


朔は自身の考えを断ち切った。これが朔の良くない癖だ。

相手の気持ち、過去を勝手に想像してしまう。そして、自分なりの考察を考えてしまう。あの方の影響だろう。

#114『向き不向き』→←#112『美しかった白鯨』



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飛沫(プロフ) - hurukawaさん» いえいえ、すみません。是非最後まで見てください。 (2021年1月15日 18時) (レス) id: 06a707eb14 (このIDを非表示/違反報告)
hurukawa - 見れました!ありがとうございます! (2021年1月15日 18時) (レス) id: be99c0bfdf (このIDを非表示/違反報告)
飛沫(プロフ) - hurukawaさん» ご指摘ありがとうございます。こちらの不手際で非公開になっておりましたので、それを解除しました。見れるようになれたと思います。すみませんでした。 (2021年1月15日 18時) (レス) id: 06a707eb14 (このIDを非表示/違反報告)
hurukawa - #96がないです (2021年1月15日 17時) (レス) id: be99c0bfdf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:飛沫 | 作成日時:2020年3月16日 15時

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