＃107『汚濁』 ページ22
目に映るのは･･････
人外の者としか考えられない異型とさっきとは様子が違う中也だった。
中也は体中に赤黒い文様が浮かび上がっている。
「･･････太宰･･････さん、あれは?」
朔の声に太宰は口角を上げた。
「中也の異能の本当の姿だよ」
中也は黒い巨大な弾を異型のものと化したラヴクラフトに叩き込んだ。
その度にラヴクラフトは体を再生させる、その応酬が繰り広げられていた。
「中也の『汚濁』形態は周囲の重力子を操る。自身の質量密度を増大させ、戦車すら素手で砕く。
圧縮させた重力子弾は
但し本人は力を制御出来ず、力を使い果たして死ぬまで暴れ続けるけどね」
太宰の説明は朔には聞こえなかった。
重力子弾をラヴクラフトにひたすら撃つ中也は荒覇吐の化身では無く、荒覇吐そのものだった。
重力操作、という最凶の異能を持つ中也はただでさえ恐ろしい程強い。
ただ、ラヴクラフトは瞬時に再生している。非常に強固だ。
「しかし、あれは一体なんだい? 中也が幾ら削っても即座に再生している。相棒の君ならあれの正体を知っているんじゃないかい?」
太宰はスタインベックに目を向けた。
「ふん、さてね･･････仮に知っていても教える訳無いだろ」
「あれは、一種の人造人間と考えていただいたらいいと思います」
朔にスタインベックは怒りの視線を向ける。朔はそれを冷たく遇らった。
「スタインベックさん、過去云々の前に今僕は貴方の敵ですから」
太宰とスタインベック、朔の会話中も中とラヴクラフトは攻防を続けていた。
この様子だと圧倒的に中也が不利だ。
「拙いな。中也の躰が保たない」
中也は既に躰の至る所から血が吹き出していた。
「生憎だね。ああなったラヴクラフトを外部から破壊する手段なんて存在しない」
スタインベックは勝ち誇った笑みを漏らした。
「外部から･･････ですか」
朔と太宰は目を合わせた。
外部から破壊方法が無いのならば、逆に内部からの破壊方法はあるということだ。
「内部からは効く訳だ」
太宰の言葉にスタインベックは目を見開き、太宰を見た。
太宰は勝者の笑みを浮かべ、スイッチ―――――爆弾と思われる――――――を押した。
その瞬間ラヴクラフトは内部崩壊を起こした。だんだん躰が膨れ上がった。
＃108『相棒』→←＃106『僕も君と一緒に死んでしまおうか』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 44人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
飛沫(プロフ) - hurukawaさん» いえいえ、すみません。是非最後まで見てください。 (2021年1月15日 18時) (
レス) id: 06a707eb14 (このIDを非表示/違反報告)
hurukawa - 見れました！ありがとうございます！ (2021年1月15日 18時) (レス) id: be99c0bfdf (このIDを非表示/違反報告)
飛沫(プロフ) - hurukawaさん» ご指摘ありがとうございます。こちらの不手際で非公開になっておりましたので、それを解除しました。見れるようになれたと思います。すみませんでした。 (2021年1月15日 18時) (レス) id: 06a707eb14 (このIDを非表示/違反報告)
hurukawa - #96がないです (2021年1月15日 17時) (レス) id: be99c0bfdf (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：飛沫 | 作成日時：2020年3月16日 15時
