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#86『夢野久作』 ページ1

朔は焦っている。

目隠し運転をして来たというのは真っ赤な嘘。そんな暇は無い。

走る音の反響音を頼りに必死にハンドルを操作する。

言葉通り一つ間違えれば死ぬ。

それより早く敦達に合流しなければナオミ達に危害が及ぶ。

……谷崎くんに怒られたく無いな




敦はナオミと春野は駅にて合流した。

ナオミと春野は先程、組合(ギルド)のスタインベックとラヴクラフトの攻撃を命からがら避けて来た所だ。

「春野さん、ナオミさん! ご無事でしたか!」

「ええでも真逆、事務員が狙われるなんて」

ナオミが目を伏せた。

「安心して下さい。僕達が避難地点まで護衛しますから」


敦は自身の胸を叩いてみせた。


(探偵社は敵に較べて戦闘特化した異能力を持つ構成員が少ない。僕が確りしないと。)

探偵社では戦闘系は敦、宮沢、萩原

汎用系は国木田、太宰、谷崎

非戦闘系は与謝野、江戸川


只萩原は代償が大きいためあまり使いたがらないらしいが……




(僕の力なら出来る。今度は僕が探偵社……を守るんだ!)


朔が聞いたら反吐が出ると言いそうな言葉だ。自分の力を過信するとそれが仇となる。


其れを敦が知るのは後、数秒―――――――


ナオミと春野は電車の中で会ったまだ幼い少年を敦に紹介した。
その少年はまるで立ちくらみにあったように敦にぶつかった。
少年はぶつかった先程敦を見て嗤った。


「籠の


なぁかの


とぉりぃは」




少年の口から紡ぎ出されたのは遊女の悲哀表したとされている童謡だ。

一生出ることの出来ない鳥籠の中で遊女達が歌った唄。


少年は自身の右腕を巻くってみせた。

そこには大量の傷。包帯に血がにじんでいる。



「いついつ


出遣ぁる


後ろの正面


だぁれ」



夢野久作

異能力『ドグラ・マグラ』


不気味な人形が鳴いた。

敦は咄嗟にナオミと春野を自身の背に隠した。


不気味な人形が割れた。
その時、敦が春野の首に掴みかかった。


「おねえさん何とかしないと殺されちゃうよ☆」

Qの声が残酷に響いた。


(敵の異能力!僕が守らないと……)


その時、敦の背中を何者かが蹴った。


「朔さん!」


朔はバイクを横倒し、春野の首を掴んでいる敦を蹴り飛ばしたのだ。

#87『悲しみを消すように』→



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飛沫(プロフ) - hurukawaさん» いえいえ、すみません。是非最後まで見てください。 (2021年1月15日 18時) (レス) id: 06a707eb14 (このIDを非表示/違反報告)
hurukawa - 見れました!ありがとうございます! (2021年1月15日 18時) (レス) id: be99c0bfdf (このIDを非表示/違反報告)
飛沫(プロフ) - hurukawaさん» ご指摘ありがとうございます。こちらの不手際で非公開になっておりましたので、それを解除しました。見れるようになれたと思います。すみませんでした。 (2021年1月15日 18時) (レス) id: 06a707eb14 (このIDを非表示/違反報告)
hurukawa - #96がないです (2021年1月15日 17時) (レス) id: be99c0bfdf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:飛沫 | 作成日時:2020年3月16日 15時

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