触れる ページ17
稽古後
Aは万里に家まで送ってもらっていた
「…なぁ、A」
「なあに?」
Aに万里の腕を掴ませて、転けないように誘導しながら少し寒くなってきた道を歩く
「さっきさ、何か…」
「?」
「Aが、浮かない顔してたから気になってよ…」
「!」
鋭い、まさにその通りだった
稽古後、みんながわいわいと話している時
Aはずっとあることを考えていた
その様子を万里は見ていたのだろうか
「あらまぁ、万里くんは鋭いね!」
「…何考えたんだよ」
Aを心配する声質の万里に、Aは口角が上がる
「…ねぇ万里くん」
「あ?」
「顔、ちょっと触ってもいい?」
「…はぁっ!?」
にこりとそう言い放つAに、万里は顔を真っ赤にして少し仰け反る
(腕を掴んでいるAも同じ方向に引っ張られる)
「いやぁ、ほら、目見えないからさ
万里くんの顔どうなってるのか知りたいなぁって」
ダメかな、と言うAに
万里は動悸が激しくなりつつも
自身の腕を掴んでいたAの手を
万里の顔の方に持っていく
「おぉっ」
「ほれ、好きに触れよ」
「うん、ありがとう」
ぺたぺた、とAは
小さく柔らかな手で優しく万里の顔に触れる
「わ、凄く顔のパーツ整ってるんだね」
「まぁな」
「わお、自信ありげ」
「くはっ、まぁ万里様だからな〜」
「ムカつく〜」
もう暫くの時間、Aは万里の顔に触れた後
手を下ろした
「もういいのか?」
「…うん!ありがとう
万里くんの顔はイケメンさん何だってことがなんとなーく分かりました」
「んだそれ」
「…」
はは、と笑う万里を他所に、Aは少しばかり口角を上げる
「…A?」
「…ね、万里くん
私、海外に行こうと思うの」
「ーーーは???」
508人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
紅葉-くれは- - めっちゃいい話しだった…(;д;) (2018年3月25日 0時) (レス) id: 42f83da7c4 (このIDを非表示/違反報告)
ますみすみ(プロフ) - 一言いいですか...。最高でした!!! (2018年3月24日 23時) (レス) id: 43e6e1321d (このIDを非表示/違反報告)
ハナ - 続き気になります!更新頑張ってください♪ (2017年5月25日 18時) (レス) id: 00707a52c1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:お嬢(眼鏡野郎) | 作成日時:2017年5月23日 19時