#連絡 ページ12
結局、その日。
さかたんから連絡は無かった。
センラさんと私のところにさかたんから連絡が来たのは、1週間後だった。
連絡が来た、というのは正確じゃない。
センラさんが押しかけた、の方が正確だ。
「俺んち来て」ってセンラさんから連絡がきて、私が彼の家に着いて早々、「我慢ならんわ」とセンラさんは飛び出して行った。
そうして暫く待っていた私の目の前、センラさんの家の玄関が開いたら。
さかたんはセンラさんに背負われていて。
ただでさえ白い肌は、いつにも増して血色が悪くて、むしろ青く見えるくらいで。
慌てる私を余所に、センラさんがさかたんをゴロンと自分のベッドに転がすと。
さかたんのおなかが、ぐぅぅぅ……と音を鳴らした。
「…………」
セ「……はぁ」
『……あは、しくじっちゃった』
セ「……バカじゃないの」
『うん……ごめんなぁセンラ』
飯作るから待っててな、と立ち上がったセンラさんは私に目配せをして、連れ立つようにキッチンに向かうと。
訳も分からず、どうしていいか困っていた私に、センラさんがさかたんの部屋に行った時の事を説明してくれた。
「いざ」という時の為にスペアキーを預かっていたセンラさんは、ソレを使ってさかたんの部屋に入ったらしく。
空き巣でも入っちゃんじゃないかと思う位に荒らされた室内と、ベッドに括りつけられたさかたんが目に入って。
センラさんも呆然としてしまったらしい。
慌てて手足を自由にさせたけれど、さかたんはロクに食べていなかったのか、立ち上がる事が出来なくて。
詳しい事は聞く前だったけれど、とにかく部屋から出たいというさかたんの言葉と状況から判断して、背負って連れ帰って来たんだそうだ。
「……さすがにヤバくない?」
セ「……ヤバいなぁ」
「……さかたんの実家は?」
セ「まぁ、そうなんだけど……」
とにかく胃に優しい物を……と、お粥を作りながらチラッとさかたんの様子を窺えば。
体をベッドに投げ出して安心した顔をしていたから、大丈夫かな……なんて思っていたら。
ブブブ……と、センラさんのスマホが震えた。
それに、すぐ反応したのは。
『……ご、め……』
セ「……いーよ」
『……でも』
セ「いいから寝とき」
どすどす足音を鳴らして部屋に戻ったセンラさんは、震えるスマホの電源を落としてさかたんの頭を撫でた。
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