【wrwrd】翡翠の竜【zm】

Ep.9 ページ11

(ゾム視点)

ちゃう。八つ当たりしとんのは俺の方や。
ずっとモヤモヤしていた。
思春期のガキか俺は。

Aの言うことはご最もや。
その肩書きに意味は無い。
肩書きがあっても俺らの仲間やから。
なのにその肩書きが邪魔をしてくる。


ちゃうねん。俺はほんまはいつも通りに接したいんや。
いつもみたいに笑ってほしいんや。
いつもみたいにかまって欲しいんや。

なのに俺の口からは鋭利な刃物のような言葉が放たれる。
容赦なく刺さるそれを避ける術はない。
それでもなおAは反撃する。

さらに鋭利な言葉を俺にむける。

もう辞めてくれ。
このまま言葉を突き刺したらAは消えてしまう。
このまま言葉を突き刺されたら俺は立ち直れなくなってしまう。

誰か俺の口を縫い付けてくれ。
これ以上言葉を発したくない。
こんな醜い刃物でAを傷つけたくない。

伸ばした腕は空を切る。
もうあいつは届かない。
はるか遠くに消えてしまった。

虚しく空を掴む俺の手を、ただ眺めることしか出来なかった。

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