番外編 現世へ行こう！ ３ ページ20
「ふぅー！久し振りに来たなー現世！」
「主、はしゃぎ過ぎないでくださいよ？今回の一番の目的は、茉莉守さんに楽しんで貰う事なんですから！」
「判ってる！さあ淤御国、興味のある所は遠慮無く言え！今日はお前の願いは叶えられる範囲で叶えてやる！」
現世に来た海翔達。久し振りの現世に喜ぶ海翔。真面目に海翔の破天荒な行動を、事前に防ごうとする鯰尾。そんな様子を見守る骨喰。
「時間は有限だ！楽しむぞ！鯰尾！骨喰！淤御国もな！」ニカッ、と笑んで言う海翔。淤御国は呆然とそれを見つめる。この儘では動かない、と思った骨喰は、くいっ、と、淤御国の着る服をほんの少し引っ張った。
こうして、１人と３振りによる、現世での日帰り旅行(？)が始まった。
最初に淤御国の目に付いたのは、可愛らしく、それでいて柔らかさを醸し出す木の茶碗。自然素材で出来た雑貨や、食器等を売るお店の外観の、大きな硝子窓からそれは見えた。程良い質感と、木目が淤御国を惹きつけた。そこに鯰尾がやって来て、一緒に茶碗を見つめた。「この木の茶碗ナチュラル？で、温かみが感じられて良いですね！」
「若しかして、これが気に入ったんですか？茉莉守さん」
こくんと頷く淤御国。鯰尾はにっこり微笑んで、海翔の下へと駆け出した。「主！茉莉守さん、木の茶碗が気に入ったそうですよ！！」
「木の茶碗？」
「ほら、彼処の店の中の棚の３段目の！一番端のやつです！」
「あれか…！確かに上手く言えないけど、惹きつけられるモノがあるな！よし、判った。今買ってくるよ！淤御国、あれ買ってくるな！」
店の中に入って行く海翔。鯰尾達は外で待機する事となった。「良かったですね、茉莉守さん！」鯰尾がそう話しかけたその時、淤御国がか細い声で言った。
「……で、……す」
「え？」
「淤御国、で、良い、です……」
「兄弟、茉莉……淤御国は如何やら、俺たちと仲良くなりたいそうだ」小さな声で鯰尾に言う骨喰。鯰尾は理解した途端に満面の笑みになり、キラキラとした目で、淤御国の名を呼んだ。
「淤御国！俺たちの事も好きに呼んで良いですからね！」
「…は、はい」
「嬉しいな〜。実はずっと前から、淤御国と仲良くなりたいって思ってたんですよね！」
「良かったな兄弟」
和やかな３振り。ふわふわほわほわとしたムードが、３振りに心の安らぎを与えている。
そんな時だった。
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