５３ 遠い俺の夢 清光side ページ13
俺は夢を見ていた。
俺は何処かに向かって走っていた。
その場所はすぐに目に見えた。
なんと、池田屋だった。
池田屋の記憶が聡明に蘇るようで、でも、その場に居たのは俺じゃなくて、
安定だった。
安定が戦っていたんだ。沖田くんと一緒に。
沖田くんと一緒に。
何で、安定がそこに？史実では安定はそこに居ない筈じゃ……。
俺は必死に安定の下へと走っている。
俺はそれを遠くから見ていた。
安定が走って行った俺の方を振り返って────
俺の夢は一度終わって、また始まった。
俺が皆と一緒に、桜を見に行く夢だった。
隣に安定が居て、綺麗だなあって言ってた気がする。
皆と酒を飲んだり、美味しいご飯を食べたりして、宴会みたいに楽しんだ。
側に主は居なかった。俺の主は。
俺はそこに居るのに、俺はそれを遠くから見ている。
俺は誰で、これは誰の視点なんだろう。
俺の夢はまた終わった。
また始まった。
今度は主が居た。主が凄く喜んで、隣に乱が居て、俺は何が何だか判らないまま主に抱きしめられた。
乱が俺を引き連れて出会わせてくれたのは、安定だった。
安定が少し涙を出しながら俺の下に来るから、俺は笑ってしまった。
その後、俺は安定と乱と一緒に皆の下に行って、挨拶して、歓迎会を行ってもらった。
そうだ。
これは俺が初めてこの本丸に来た時を再現しているんだ。
俺が顕現した時、主は目に隈が出来ていて、「おお！清光だ！清光だー！！！」って大はしゃぎして。
俺は初めて見た主の顔に隈が有ったから、「主、目に隈なんて作らないでよ。俺の主でしょ？」って、挨拶してすぐに言っちゃったっけ。
でも、あれは主が徹夜で乱と鍛刀していたからなんだよね。
俺は知ってるよ主。乱がぽろっと言っちゃってたよ。
主が俺や安定、他の奴らの事を大切にしてくれてる。それはこの本丸の刀剣達、みーんな判ってる。
だから主について行きたくなる。
主の力になろうと思う。
大好きな大好きな俺の主。
きっと他の本丸の主を、他の本丸の俺は大好きなんだろう。
俺にとっては、俺が顕現したこの本丸の主が、本当に大切で大好きなんだ。
俺の主を、淤御国にも大好きになってほしい。
だから、
淤御国の為に、俺たちで奇跡を起こそう。
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