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「ゴミ掃除、なあ」


数字と文字が刻まれた紙、鞣革の袋。朝起きて即視界に映り込んできたそれは所謂契約書と前金というやつで。

巷で何でも屋として日々を過ごす自分に、どうやら新しい依頼が来たらしい。今回の依頼は人殺しのようであった。標的は三人。路地裏に住み着くゴミを始末してほしいという内容である。

紙とともにあった革袋を逆さまに向ければじゃらじゃらと音を立てて金色が零れ落ちた。
その金額、凡そ書類に記載されたものの一割程度。人間三人を殺すにはあまりに安過ぎる値段ではあるが、そのゴミとやらのせいで被った損害を考えれば妥当な額なのであろう。


「あ、おはよう兄貴」
「おはような、つかさん」
「それ昨晩伯爵さんが持ってきたんだよ」
「……伯爵?どこの奴や?」
「ここの領地治めてる人だね」


領主が自ら人殺しの依頼を頼みに来るとは、何ともまあ危機感のないことである。お目出度い奴とでも言うべきだろうか。


「ワイにゴミ掃除させるとかとんだ皮肉やわ、ほんま」
「まぁ……こっちはお金で人命売り買いしてる訳だもんね。向こうにしたら多分私達もゴミ同然なんだろうな」
「そんなんする方がゴミやのになー。何にしても久々のころころや、腕がなるでぇ」
「や、やりすぎない程度にね?」


自分一人に対して敵は三人。攻撃三倍の法則に当てはめて考えれば若干こちらが劣勢だが、不意を突ける上に相手は碌に食事も取れていないことだろう。

ならばそれなりに有利な立ち回りは可能なはずである。それでも居場所と人数以外の情報がない以上、ある程度の用心は必要だ。
何せ乞食、手合いの相手に慣れている可能性は決して低くない。そうやって、まだ見ぬ敵に思いを馳せて。


「朝駆け、夜討ち、どっちがええやろなぁ」


意識せずとも上がってしまう口角。そんな自分を眺めるつかさんは、どこか呆れたような顔で溜め息を零して笑った。

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作者名:瑶杞 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2018年12月26日 19時

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