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薬「豊玉発句集?」
鶴丸につられて、薬研も興味深そうな顔で大和守の隣に胡座をかく。
和泉「土方さんが書き溜めた俳句集だ。なんだよ、素晴らしいじゃねぇかよ。あの人の俳句」
「うん、私も土方さんの俳句好きだよ。てか私、
和泉守の土方さんへの称賛に、すずもうんうんと頷く。
「『知れば迷い 知らねば迷わぬ 恋の道』って土方さんが作った恋の歌。とっても素敵な句だよねー。
あんな見た目も中身もおっかない人が、こんなにもピュアな歌を作ったってのがツボにハマってさ……。もう超予想外なんですけど」
それを聞いた瞬間に加州と大和守、鶴丸はブフォッと吹き出し、ゲラゲラと笑い始めた。
和泉「お前ら笑うんじゃねーよ!
すずも土方さんの事悪く言うなぁ‼」
恥ずかしさの余りか和泉守は顔を真っ赤にして、彼女のこめかみにグリグリと拳を当てる。
「あ、痛い痛い!
別に悪く言ったわけじゃ……。イタタタッ!ごめんっ、ごめんってば‼」
すずはあまりの痛さに降参の意思を示すと、和泉守はやっと攻撃の手を止めた。
「言っとくけど私、土方さんの事嫌いじゃないんだからね。むしろ、どっちかと言えば好きなんだから。
だからこうやって、おちょくってばっかりいるんだけどさー」
和泉守の攻撃が止んだ途端、すずは頬を膨らませてそう言った。彼女が土方を兄や父の様に慕っていたのは事実だからだ。
鶴「……そういえば、土方歳三がお前さんを何処ぞの誰かに嫁がせようとしたって話、あれはどういう事なんだ?」
ずっと気になっていたのだろう。鶴丸が唐突にすずに訊ねてきた。
「あぁ、アレね……。あの話は本当だよ。
私が成長すれば、いずれ大人の女性の身体付きになって行くでしょ?
近藤派の一部しか私の本当の性別を知らされてないし、他の隊士に私が女ってバレたら、示しが付かないからって嫁に出そうとしたんだってー。
……って、まぁそれが土方さんの建前なんだけどさ」
すずは大きく深呼吸をする。
「丁度その頃、戦が激しくなる前だったの。
戊辰戦争が始まる数ヶ月前だったんだけど、これから徐々に戦になりそうな空気だったから、私を巻き込まない様にするために安全な場所に避難させようとしてたんだって」
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神ノ木 - 更新待ってます!頑張ってください! (2018年7月3日 21時) (レス) id: a21d3a6b09 (このIDを非表示/違反報告)
槝 - 面白い場面で…続きが気になります。 (2018年6月29日 14時) (携帯から) (レス) id: 46e1741f78 (このIDを非表示/違反報告)
湖@清光可愛い鯰尾君可愛い国弘可愛い亀ちゃん大好き!!! - 凄く面白いです!最初から一気に見ちゃいました!清光に薬研に兼さんに三日月が一杯出てきていて私、迚嬉しいです!これからも、更新頑張って下さい!応援しています!では。^ ^! (2018年5月20日 12時) (レス) id: 073b3b6cdc (このIDを非表示/違反報告)
埼玉の銀ちゃん(プロフ) - 水面さん» はじめまして、コメントありがとうございます!面白いと言って頂けて嬉しいです(*^^*)少しずつですが更新頑張っていきます!!応援ありがとうございますm(_ _)m (2018年4月29日 18時) (レス) id: 1f42c16589 (このIDを非表示/違反報告)
水面 - この小説すごい面白いです!更新楽しみにしています♪ (2018年4月29日 18時) (レス) id: c4fe34a3f9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:埼玉の銀ちゃん x他2人 | 作成日時:2018年4月28日 16時