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四百七十四話 ページ5

詩織「旦那、今突入したって返り討ちにあうだけですよ。
ここは一旦じっくり話し合って策をたてた方がいいですって」


銀時「じゃあなんだ、この鼻水みてェにくっついてはなれない怒りはどうすりゃいいんだよ!」


詩織「旦那!例えが気持ち悪いです‼」



旦那は私の必死の呼び掛けにも応じず負けじと万事屋の方向へと足を進める。

このままだと勢いに任せて坂田金時を殺してしまいそうなほどだ。
今は万事屋の二人もAさんもいないんだから私がストッパーにならないと。


そう決意するのはいいもののさすが元攘夷浪士というべきか力では引き留められない。
苦悶の表情を浮かべていると、買い物に行くところだったのか間が悪く旦那の怒りの原因が現れた。



『あれ、さっきの可愛子ちゃんと銀パじゃん。
店の前でどうしたの、やっぱ依頼あった?』


詩織「あ、えっと…」



公園にいる子供に話しかけるような他人行儀な語り口に態度に複雑な気持ちが沸いて出る。
なんとも言えない感情に言葉をつまらせた。思わず反射的にさっと目を反らす。

一方旦那は、なんの迷いもなくAさんの頭を殴っていた。



銀時「オラアッ!」


『ごぶしっ』


詩織「…………」



__________



_______



新八「なんだァやっぱり仕事の依頼なんじゃないですか。
Aさんが見つけてなかったらどうなってたことか」


神楽「私達万事屋は困ってる人がいたら何でも力になるアルヨ、気にせず話すアル」


詩織「アリガトウゴザイマス…」



眩しいくらいの無垢な笑顔でそう告げる神楽ちゃんと新八くん。
旦那が手を出した理由は「五百万を持ち逃げした知人に似てたから」で済ませた。

それに付け足されるかのように並んで座っているAさんと坂田金時。
元カレと元カノが集結したみたいな気まずさから目を合わせられずにいる。



『それで肝心の依頼内容は?
さっき言ってた五百万持ち逃げした奴?』


金時「なんでお前が仕切ってるんだよ」


『ゴメンゴメン』



どうやらこの場合Aさんと深い繋がりを持っているのは坂田金時ということになっているらしく二人の距離が近い。

とたんに旦那は顔を般若に瓜二つのものへと変化させた。
旦那がピキってる、一発じゃ殴り足りなさそうな顔してる。



銀時「真面目ちゃん、もう一発誤魔化しきれると思うか」


詩織「札束ビンタの方が説得力は増すんじゃないですか」



唐突なNTRに脳が破壊されたとはこの事だろう。

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作者名:たこわさび | 作成日時:2023年10月9日 22時

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