【銀魂】ヒロインが可愛すぎる１１ (ページ34)

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五百三話ページ34

定春君の上に乗り源外さんがいる場所からある程度離れた所で降りる。
そこは私と旦那を探しているみんなが集まっている商店街の屋根の上。

多少距離もあるが妙ちゃんにツッキーさんに九兵衛さんにとここからでも顔が見えた。
ボケとツッコミが入り乱れているのは相変わらずなようだ。

「あっ…あれはァァァァァァ‼︎」

銀時「よう、どうしたみんなで空なんか見上げて。日食ですか」

屋根の上にたっているたまさんを傷つけた悪役の存在に気付き一同が声をあげるが、対照的に旦那は緊張感のきの字もないような動作で鼻くそをほじる。

ピリリと緊張を一心に受け息を整えた。

「きっ…貴様ァァァァ！よくもおめおめと‼︎
一度だけ言う、たま殿を手にかけたのは貴様かァ⁉︎」

もしこの問いになんと答えてもきっと結果は変わらない。

私はこんな時どう返したらいいかわからないし、それらを理解していてもきっと馬鹿正直に今の言葉を否定してしまう。

銀時「……てめーらの頭の上の金色のお天道様がそういったんなら信じればいい」

だからこんな時は旦那のセリフが最適だ。

銀時「俺ァ、そいつにハナクソつけに来ただけだ」

それを宣戦布告と受け取ったのか一斉に坂田金時を信頼している人達が血気盛んに私らがいる屋根目掛けて走り出した。

けれどそんな喧騒とは裏腹に定春君を二、三回撫で優しい口調で語りかける。

詩織「定春君、全部終わったら最高級ドッグフード絶対買うから」

銀時「いいか…何があっても振り返るなよ、前だけ見て走れ。

口約束なんて慰め程度にしかならないだろうがそれだけ定春君にも酷なこと。
どこまで状況などが通じているかわからないが定春君は立派な忠犬だ。

銀時「なァにいつもと何にも変わらねェ。
帰ろう、みんなのいる我が家に」

トドメのように旦那が囁くと定春君は町民が無数に蠢く道を突っ切って行った。
背中に乗せたのは旦那でも私でもないただのビニール人形だけれども。

銀時「悪かったな、お前まで巻き込んじまって。
V字ハゲやらゴリラやら腹黒ベビーフェイスやらから咎められる未来しか見えねェ」

詩織「いいんです、私ヒロイン代理なので」

陽動の定春君を見送り私たちもと移動を始めた。
旦那と話をしながら「それに」と続ける。

詩織「真選組のどうしようもない総長を、連れて帰らなきゃなりませんので」

そう言って呑気に幼馴染ヒロイン枠に落ち着いていたあの人を思い浮かべた。