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四百九十八話 ページ29

旦那がさっちゃんを抱き止めてから私も遅れて旦那の足を掴む。
勢いを殺せないかとビルの壁面に足を突き立てようとするが掠めるだけで終わる。

容赦なく徐々に迫ってくる地面に私は反射的に目をつぶった。



詩織「っ!」



しかし地面に叩きつけられるどころか、温かいものに包まれているかのような感触。
ピタリと止まった周りの悲鳴に怖がる気持ちを残しつつ恐る恐る目蓋を開ける。

すると視界に入ってきたのは、私達を受け止める神楽ちゃんと新八君だった。



新八「何て…ムチャやってんですか」


銀時「ムチャじゃねーよ……。
てめーらなら、必ず助けにくるって…しってたからな」



二人は紛れもなくこの一瞬旦那のために行動を起こした。
坂田金時を殴ったりと散々な印象の旦那を護るために。

旦那の足を放して地に足をつける。もしかしてこれは…。


一抹の希望を抱き、新八君と神楽ちゃんに視線を移した。



詩織「二人とも、旦那のこと…!」


たま「銀時様!詩織様!さっちゃん様‼︎おケガはありませんか」


銀時「ああ、コイツは少々頭をやられたが元からだ」



旦那が親指でさっちゃんをさして罵倒するが、それよりも今は二人のことだ。



たま「新八様神楽様、ありがとうございます。
やっと…やっと思い出してくれたんですね、お二人の事を」



たまさんも喜びからかフワリとした笑みを浮かべて頭を下げる。
私もたまさんの後ろで喜びを押さえていると、新八君は不思議そうに口を開いた。



新八「……え?一体何の事を…」



…少々夢を見すぎていたのかもしれない。

旦那のピンチがきっかけで記憶が戻ることがあったらまさに理想。
けれどB級映画のようなその展開は都合が良すぎるか。



銀時「そういう奴等さ」



心なしか旦那が寂しそうに呟いた。



銀時「死にかけている奴がいれば何も考えず助けに来る、気にくわねェ事には黙っちゃいられねェ、後先考えず身体が動いちまう。

そういうバカな奴等の集まりなのさ、万事屋は。
そいつだけは忘れちゃいなかった、それがわかっただけで十分だ」



吹っ切れたように諦めたかのようにとうとうと言葉を紡いでいく。
まるで、リーダーが自分でなくてもいいと言うように。



詩織「…旦那?」


銀時「………まァその…なんだ、色々…あんがとよ」



不安から少し上ずった声で呼び掛ける。
しかしそのまま彼は万事屋に背を向けて、少し居心地が悪そうに言い放った。



銀時「元気でやれよ、万事屋…」

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作者名:たこわさび | 作成日時:2023年10月9日 22時

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